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消費増税でも強気?今年ビール類販売減の計画は大手4社で1社のみ

各社の戦略まるっと紹介
**アサヒ、「スーパードライ」復活狙う
 アサヒビールは2019年のビール類販売数量で前年比2・2%増の1億5050万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指す。8日に19年の事業方針を発表し、基幹ブランドの強化と新需要の創造を打ち出した。主力ビール「アサヒスーパードライ」では刷新した品質を体験してもらうため300万人規模のサンプリングを実施。伸長する第三のビールで「クリアアサヒ」を2月に刷新する。また新ブランド「アサヒ 極上〈キレ味〉」を29日に発売する。

 アサヒビールの18年のビール類販売は天候不順や自然災害などの影響もあり同6・8%減の1億4720万ケースにとどまった。うちスーパードライは同7・2%減と低迷。同年11月に刷新し、大規模サンプリングや47都道府県限定ラベル商品などを通じて19年に同1・4%増の9480万ケースを目指す。

 第三のビールではクリアアサヒで大麦などを増量し麦の味わいを高めるほか、アロマホップを採用する。3月以降に100万人規模のサンプリングを行う。極上〈キレ味〉は原材料に麦を100%使用しキレ味と飲み応えが特徴という。第三のビールの販売目標は同5・8%増の4210万ケース。

 ビール類以外では18年に同9・4%増(販売額)と伸びた缶チューハイで19年にさらに同12・6%増の500億円に設定。「ウィルキンソンRTD」「贅沢搾り」の刷新を行う。
(2019年1月9日掲載)

キリン、「本麒麟」ヒットの次は?


 キリンビールは2019年のビール類販売数量で前年比2・0%増の1億3780万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と2年連続の前年実績超えを目指す。9日に事業方針を発表し、主力ブランドへの集中投資を行うとともにクラフトビール事業に注力する計画を発表した。18年は第三のビール「本麒麟」のヒットなどによりビール類で同5・2%増の1億3510万ケースを達成。19年に主力ビール「一番搾り」や本麒麟などを刷新し成長を目指す。

 19年秋の消費増税を踏まえ、価格競争力のある第三のビールと、26年までのビール類酒税の一本化に向け中長期で伸長するビールカテゴリーを強化する。18年の販売数量が940万ケースとヒットした本麒麟は、19年に同46・8%増の1380万ケースに拡大する計画。1月にリニューアルし、香りや苦みが特徴のドイツ産ホップを増量するほか、パッケージでは視認性・上質感を高めたデザインを採用する。

 一番搾りは4月に刷新する。ホップの配合を工夫し麦のうま味とホップの風味の調和を高める。さらに300万人規模のサンプリングを実施するなどPRを積極展開する。19年の販売目標は同1・9%増の3300万ケースで、ビール全体で前年並みの4660万ケースにする計画。

 またクラフトビール事業では専用ディスペンサーで提供するサービス「タップ・マルシェ」の導入店舗数を19年末に前年末比で約85%増の約1万3000店に拡大を目指す。
(2019年1月10日掲載)

サントリー、第3のビール「マグナムドライ〈本辛口〉」


 サントリービールは10日、2019年の事業方針を発表し、ビール類の販売数量で前年比3%増となる6460万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指す。主力ビール「ザ・プレミアム・モルツ」をさらに強化するほか、第三のビールを大きく伸ばす。主力「金麦」を1月に大幅に刷新するほか、多様化ニーズに対応する新商品「金麦〈ゴールド・ラガー〉」を2月に、「マグナムドライ〈本辛口〉」を4月に発売する。

 ザ・プレミアム・モルツは「泡」をテーマに「神泡」プロモーションを継続し、2月に東京・八重洲に旗艦店「神泡BAR」を開設する。19年販売数量で同1%増の1730万ケースを目指す。また業務用ビール市場の活性化に向け氷専用ビール「アイス・ドラフト〈生〉」を3月に全国の料飲店限定で投入する。

 第三のビールでは金麦を刷新。麦芽使用量を同商品としては過去最大に引き上げて、麦のうま味を高めた。金麦〈ゴールド・ラガー〉は力強い飲み応えとコクが特徴で、本格的なコクを求めるニーズを狙う。同ブランドで同8%増となる3750万ケースに拡大を目指す。

 また、第三のビールで本格的なキレ味のニーズに対応するのがマグナムドライ〈本辛口〉。99年に発売して好評だった発泡酒「マグナムドライ」を刷新して、第三のビールとして市場開拓する。
(2019年1月11日)

サッポロ、新「黒ラベル」の泡に注目


 サッポロビールは9日、2019年の事業方針を発表し、ビールの再強化を柱として打ち出した。主力の「サッポロ生ビール黒ラベル」は1月にリニューアルし、品質管理強化により“白く美しい泡”を実現する。「ヱビス」では本格エールタイプの「ヱビス プレミアムエール」を2月26日に発売する。19年のビール販売は前年比3・7%増の3100万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指し、ビール類全体では同0・3%減の4450万ケースを計画する。

 18年は嗜好(しこう)の多様化や多発した自然災害などもあり、ビール類販売は同8・1%減の4466万ケースにとどまった。19年は「ビール再強化宣言」を掲げ、ビールブランドを強化する。

 黒ラベルでは重要な要素の「泡」に着目し、品質管理の徹底と製造方法の工夫により、「白さと美しさ」を高めたという。ヱビスは「本物・本格」のイメージを高める。ヱビス プレミアムエールを通年発売し、新たなプレミアムビールを提案する。

 また、第三のビールでは18年12月に刷新した「サッポロ 麦とホップ」を拡販。さらに、4月に高発酵・強炭酸の「サッポロ 本格辛口」を発売しニーズ多様化に対応する。19年販売目標は同5・5%減の1150万ケース。
(2019年1月10日掲載)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
消費増税が予定されてますが、3社が販売増を計画。第3のビール強化だけでなく、主力ビールにも注力するようです。

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