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製造業はどの国に興味を示している?“海外進出トレンド”を徹底分析!

国際協力銀行調査部第1ユニット 山崎香澄氏に聞く
**市場の魅力、選択の焦点に
 国際協力銀行(JBIC)は、製造業で海外拠点を3拠点以上有する企業を対象に、1989年から毎年「わが国製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査」を実施している。26日に発表した今年分の調査から製造業の海外進出トレンドを解説する。1回目は製造業が今後3年程度の有望な事業展開先と考える国のランキングを紹介する。

 同ランキングは日本企業の海外展開のトレンドを示す調査の中でも注目度が高く、近年の得票率の推移は、1位の中国、2位のインドを中心に得票率20%超の6位までの国々が得票率を伸ばす一方で、それ以外の国々は得票率を下げており、二極化が進んでいる。
          


 1位中国の得票率は52・2%と得票数の過半を占め、前回からの増加幅は6・5ポイントと有望国トップ10の中で最も高い。製造業強化を目指す「中国製造2025」のもとで設備投資が活性化する中、先端技術や高付加価値製品への需要が高まり、半導体や工作機械の販売が好調に推移したこと、所得水準の上昇でEコマースを活用した衛生用品などの一般消費財の販売や乗用車など耐久消費財の販売が伸びたことが背景にあるものと考えられる。

 2位のインド(得票率46・2%)は、高額紙幣の廃止や間接税改革が落ち着き、今回再び得票率を上げた。インフラが整い始め、産業集積も進んでいることから今後も人気は底堅く続くとみられる。

 トップ2カ国に続くのは地理的に日本に近いアジアの国々だ。3位のタイ(同37・1%)、4位のベトナム(同33・9%)、5位のインドネシア(同30・4%)が、三つどもえの様相を呈している。タイは主として自動車産業が得票率を押し上げた。これは好調な輸出にけん引された景気拡大の他、11―12年に実施され、当地の自動車需要を先食いした「ファーストカー減税」後からの業況回復がうかがえる。また産業の高度化に力を入れているため、地域統括拠点としての魅力も増している。

 ベトナムは前回まで上昇傾向にあったが、18年1月にベトナムへの自動車の輸入に追加的な手続きを導入したことが、非関税障壁として影響したとみられ、今回得票率が低下した。インドネシアは前回と同順位であったが、近年では食品業界関連の期待が高い。

 続く6位の米国の得票率が堅調に推移している一方、7位のメキシコは前回から得票率が低下し、両国間の得票差は拡大する結果となった。

 しかしながら、本調査の中間集計(7月)から最終集計(9月)にかけて米国が減速、メキシコは回復していった点は興味深い。本調査が貿易協定の見直しで両国が暫定合意に達した時期に実施されたことも考えれば、今後、先行きの不透明感が払拭(ふっしょく)されれば、両国の得票率の差は縮小することが期待される。

 日本の製造企業は国内事業の強化・拡大姿勢を強めているが、以上のように「市場の成長性」「市場規模」について魅力度が高い中国、インドなどに資源を集中させる一方、限られた経営資源の配分において事業展開先の国が選択的になりつつある。
(文=国際協力銀行調査部第1ユニット 山崎香澄氏)
日刊工業新聞2018年11月29日

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