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金属板切断が3倍速、アマダがレーザー光“振動”で実現

金属板切断が3倍速、アマダがレーザー光“振動”で実現

標準的なレーザー技術(上)と新技術「LBCテクノロジー」のイメージ

 アマダホールディングス(HD)は、レーザー光を細かく揺らすことで、金属板を従来比3倍の速さで切断する技術を開発した。揺らすことでレーザー光の軌跡を自在に制御でき、微細な8の字の軌道を描くように照射できるなど効率良く切断できる。切断面の品質も上がる。現在の主流レーザー方式で加工の品質や時間が課題となるアルミニウムやステンレスは、自動車の軽量化要求などで需要拡大が期待される。これらに対応する切断技術として、来春にも製品化する。【独ハノーバー=六笠友和】

 今回の技術は世界初という。アマダHDはレーザー光の制御ユニット、出力4キロワットのファイバーレーザー発振器をそれぞれ開発した。レーザー光を制御する新技術を「LBC(軌跡ビームコントロール)テクノロジー」として、金属板を切断するレーザー加工機に搭載する。同加工機「VENTIS」を、23日からドイツで開かれる鍛圧機械の国際展示会で披露する。

 アルミやステンレスの切断速度は従来比3倍で、出力8キロワット機相当の速さになる。従来は速度を上げると材料が斜めに切れる課題があった。

 また、ドロスと呼ばれる溶けた材料の残留物は、従来機で高さ168マイクロメートル(マイクロは100万分の1)だったものがほぼゼロになり、面粗度は同2倍以上向上する。

 発振器から出たレーザー光を同ユニット内部の鏡で振動させ、光をわずかに揺らす。レーザー光を微細な8の字やUの字の軌跡を描くように照射するといった自由な制御ができる。切断方向に対して1の字を描くようにすることで、最も切断に適した光の中心を多く使え、熱量不足で生じるドロスの発生を抑える。

 アルミやステンレスはエレベーターや自動車、厨房(ちゅうぼう)機器など幅広く使われる。主流のファイバーレーザー加工機はこれらの材料での課題から、1980年代からある二酸化炭素(CO2)レーザー加工機が使われることが多い。新技術の投入で需要拡大への対応とCO2レーザーからの置き換えを進める。
日刊工業新聞2018年10月23日

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