【ソラコム・玉川憲】IoT時代にものづくり企業が考えるべきコト
【CEATEC JAPAN 2018連載#4】ソラコム・玉川憲社長
IoT(モノのインターネット)を活用して新事業創出に挑む企業が増えている。1万件以上の利用事例を持つIoT通信プラットフォームを展開するソラコム(東京都世田谷区)の玉川憲社長に市場の現状や今後の展望などを聞いた。
―IoT市場の現状をどう見ていますか。
「IoTに対する企業の関心はピークを越え、実践を伴う幻滅期と言えるかもしれない。『IoTの活用は簡単ではない』との認識が広がっている。その中で、直近はグローバルに製品を展開する企業が本腰を入れ始めた印象がある。また、決済系端末で採用の動きも活発だ。インバウンド対応などを踏まえたキャッシュレス化の動きが加速しているからだろう」
―今後IoT活用の拡大が見込まれる業種業態はありますか。
「自動運転の実現やシェアリングツールとしての利用の拡大が見込まれる自動車分野は注目している。足元ではドライブレコーダーでの採用が増えている」
―ソラコムのプラットフォームを活用してビジネスの創出に成功している企業に共通の特徴はありますか。
「誰のために何をやりたいのかというビジョンが明確であることと、スピード感があることだろう。(月額45円からの)スモールスタートができる我々のプラットフォームを活用して、ビジョンを実現するための仮説を立ててすぐに検証し、改善などを行うことで良いビジネスを生み出している」
―IoT時代に日本企業が意識すべきことは。
「日本企業はものづくりが得意な企業が多い。ハードウエアはもちろん大事だが、現在の顧客はそれとつながるソフトウエアを含めた総合的なユーザーエクスペリエンス(UX)で製品を選ぶ。それを意識して競争力のあるソフトウエアを生み出す部分に注力し、UXの最大化を目指すべきだ。その際に我々のIoT通信プラットフォームを使ってもらえればと思う」
―御社としてはIoT通信プラットフォームを今後どう強化していく考えですか。
「グローバル対応の強化が一つ。すでに約120の国・地域で通信できる『グローバルSIM』を提供しているが、さらにカバーエリアを広げたい。また、『eSIM』をさまざまな製品で利用しやすくしていく。『eSIM』は製品の製造工程で組み込んでも(従来のSIMと異なり)消費者の手元に届くまで通信費がかからないように制御できる。この普及はあらゆる製品が通信する社会の実現に不可欠だ」
―「ローラワン」や「シグフォックス」「LTE―M」など消費電力を抑えて遠距離通信を実現する新たなIoT向け通信規格「LPWA」が複数登場し、御社のプラットフォームでも対応を進めていますね。
「LPWAの通信では、デバイスの電力消費を抑えることができるため、乾電池での駆動が可能になる。これによりIoT活用の範囲はさらに広がるだろう。その中でも、我々が提供を開始した『LTE―M』は、省電力を特徴にもちながら、既存の4GLTEの携帯電話通信網を利用する。ソラコムは『LTE―M』を、1回線から利用でき、組み合わせて利用できるリファレンスデバイスも1台から提供している。このように誰もが気軽に最新のテクノロジーを使えることは、多くの企業がIoTをビジネスに取り入れていく際に重要だと考えている」
-複数あるLPWAの通信規格はどのように使い分ければよいでしょうか
「それぞれの通信規格は、顧客の利用事例に応じて使い分けられる。ソラコムは『ローラワン』や『シグフォックス』にも対応しており、複数のIoT通信を組み合わせたシステム構築も可能にしている」
―超高速通信などを実現する「5G」の商用化が近づいています。
「IoTは一般に少ないデータをやりとりするイメージを持たれるが、大量のデータを通信するケースもある。具体的には監視カメラの高精細な映像データを5Gによって常に収集・分析して犯罪を未然に防ぐという使い方などが考えられる。我々のプラットフォームは誰もがIoT通信を利用できる『IoTの民主化』を推進している。5Gが登場した際には5Gの民主化にも挑みたい」
【01】2030年に400兆円、IoT市場のチャンスをつかむには?(10月15日公開)
【02】ローソン社長が語る、デジタル×コンビニの未来(10月16日公開)
【03】トヨタグループの考えるコネクテッド技術と将来のモビリティー(10月17日公開)
【04】IoT時代にものづくり企業が考えるべきコト(10月18日公開)
―IoT市場の現状をどう見ていますか。
「IoTに対する企業の関心はピークを越え、実践を伴う幻滅期と言えるかもしれない。『IoTの活用は簡単ではない』との認識が広がっている。その中で、直近はグローバルに製品を展開する企業が本腰を入れ始めた印象がある。また、決済系端末で採用の動きも活発だ。インバウンド対応などを踏まえたキャッシュレス化の動きが加速しているからだろう」
―今後IoT活用の拡大が見込まれる業種業態はありますか。
「自動運転の実現やシェアリングツールとしての利用の拡大が見込まれる自動車分野は注目している。足元ではドライブレコーダーでの採用が増えている」
―ソラコムのプラットフォームを活用してビジネスの創出に成功している企業に共通の特徴はありますか。
「誰のために何をやりたいのかというビジョンが明確であることと、スピード感があることだろう。(月額45円からの)スモールスタートができる我々のプラットフォームを活用して、ビジョンを実現するための仮説を立ててすぐに検証し、改善などを行うことで良いビジネスを生み出している」
―IoT時代に日本企業が意識すべきことは。
「日本企業はものづくりが得意な企業が多い。ハードウエアはもちろん大事だが、現在の顧客はそれとつながるソフトウエアを含めた総合的なユーザーエクスペリエンス(UX)で製品を選ぶ。それを意識して競争力のあるソフトウエアを生み出す部分に注力し、UXの最大化を目指すべきだ。その際に我々のIoT通信プラットフォームを使ってもらえればと思う」
―御社としてはIoT通信プラットフォームを今後どう強化していく考えですか。
「グローバル対応の強化が一つ。すでに約120の国・地域で通信できる『グローバルSIM』を提供しているが、さらにカバーエリアを広げたい。また、『eSIM』をさまざまな製品で利用しやすくしていく。『eSIM』は製品の製造工程で組み込んでも(従来のSIMと異なり)消費者の手元に届くまで通信費がかからないように制御できる。この普及はあらゆる製品が通信する社会の実現に不可欠だ」
―「ローラワン」や「シグフォックス」「LTE―M」など消費電力を抑えて遠距離通信を実現する新たなIoT向け通信規格「LPWA」が複数登場し、御社のプラットフォームでも対応を進めていますね。
「LPWAの通信では、デバイスの電力消費を抑えることができるため、乾電池での駆動が可能になる。これによりIoT活用の範囲はさらに広がるだろう。その中でも、我々が提供を開始した『LTE―M』は、省電力を特徴にもちながら、既存の4GLTEの携帯電話通信網を利用する。ソラコムは『LTE―M』を、1回線から利用でき、組み合わせて利用できるリファレンスデバイスも1台から提供している。このように誰もが気軽に最新のテクノロジーを使えることは、多くの企業がIoTをビジネスに取り入れていく際に重要だと考えている」
-複数あるLPWAの通信規格はどのように使い分ければよいでしょうか
「それぞれの通信規格は、顧客の利用事例に応じて使い分けられる。ソラコムは『ローラワン』や『シグフォックス』にも対応しており、複数のIoT通信を組み合わせたシステム構築も可能にしている」
―超高速通信などを実現する「5G」の商用化が近づいています。
「IoTは一般に少ないデータをやりとりするイメージを持たれるが、大量のデータを通信するケースもある。具体的には監視カメラの高精細な映像データを5Gによって常に収集・分析して犯罪を未然に防ぐという使い方などが考えられる。我々のプラットフォームは誰もがIoT通信を利用できる『IoTの民主化』を推進している。5Gが登場した際には5Gの民主化にも挑みたい」
インタビュー連載「CEATEC JAPAN 2018」
【01】2030年に400兆円、IoT市場のチャンスをつかむには?(10月15日公開)
【02】ローソン社長が語る、デジタル×コンビニの未来(10月16日公開)
【03】トヨタグループの考えるコネクテッド技術と将来のモビリティー(10月17日公開)
【04】IoT時代にものづくり企業が考えるべきコト(10月18日公開)
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