【政府・19年度概算要求】ロボット・AIの研究開発予算まるっと早わかり
政府の2019年度予算概算要求における研究開発は、ロボット・人工知能(AI)が主役となる。ロボット・AIは、社会課題の解決やイノベーションを目指すには不可欠な基盤技術になった。文部科学省での基礎研究から経済産業省や国土交通省などでの実用化や普及(社会実装)まで府省庁に広く盛り込まれた。シームレスな施策となるか、散在的になるか、省庁を超えた相乗効果をしっかりと示す工夫が重要になる。
19年度は各省庁がデータを中心にプラットフォームの構築を志向しているのが特徴だ。農林水産省は「スマート農業の実現」に50億円を要望し、農場の管理や農作物の品質などのデータを集める。厚生労働省は「データヘルス改革の推進」に443億円を要求。レセプト(診療報酬明細書)や特定健診などのデータを集めて保健医療データプラットフォームの構築を目指す。
集めたデータはAI技術などで解析し、最適化をはかる。スマート農業では食品流通を効率化し、運輸分野ではコンテナターミナルを効率化する。データヘルスでは、蓄積されたデータから新しい医学的知見を探したり、新薬開発を効率化したりすることが期待される。
ロボットは、サービスを具体的に実施する機能とデータ収集の機能が求められる。農業分野ではトラクターや田植機の自動化、運輸分野では船舶の自動運航の開発予算が計上された。防衛分野では安全保障技術として水中ロボットなどが開発される。ドローン(飛行ロボット)は橋梁(きょうりょう)では点検データを、農場では作物の育成データを集める。事業省庁はロボット技術でデータを集め、AIで解析して高度化し、ロボットで具体化して、次のデータを集めるという循環ができている。
この循環を支えるのが文科省や経産省などの研究開発予算だ。文科省はAI研究に90億円を計上。データ数理人材の育成などを含めると133億円を投じてAI人材を育成する。経産省は中核技術の開発に62億円、システム構築技術に25億円などを要求した。さらにデータ活用・サービス開発を支援するために新しく40億円を計上した。自動運転やモノづくりなど5分野で事業開発に近い部分を支援する。
内閣府は325億円を計上した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)などの大型予算で民間と多省庁が参加するプログラムを運営する。SIPは大半のプログラムでAIやロボット技術が採用された。
ロボットAI技術は基礎研究から社会実装まで、個別省庁の施策から府省連携の横断型施策まで、さまざまな形態で運営されることになる。
課題は相乗効果の可視化だ。施策の実施主体となる研究者や研究機関は複数の事業を掛け持つことが多く、現場で技術やノウハウを融通してきた。例えば産業技術総合研究所と理化学研究所には、日本の抱える社会課題のうち技術で解けそうな課題はほぼすべて持ち込まれている。
一方で省庁側が現場の連携実態をとらえきれていないことが少なくない。財務省との折衝に向けて役割分担による重複回避でなく、連携による相乗効果を説明していく必要がある。
19年度は各省庁がデータを中心にプラットフォームの構築を志向しているのが特徴だ。農林水産省は「スマート農業の実現」に50億円を要望し、農場の管理や農作物の品質などのデータを集める。厚生労働省は「データヘルス改革の推進」に443億円を要求。レセプト(診療報酬明細書)や特定健診などのデータを集めて保健医療データプラットフォームの構築を目指す。
集めたデータはAI技術などで解析し、最適化をはかる。スマート農業では食品流通を効率化し、運輸分野ではコンテナターミナルを効率化する。データヘルスでは、蓄積されたデータから新しい医学的知見を探したり、新薬開発を効率化したりすることが期待される。
ロボットは、サービスを具体的に実施する機能とデータ収集の機能が求められる。農業分野ではトラクターや田植機の自動化、運輸分野では船舶の自動運航の開発予算が計上された。防衛分野では安全保障技術として水中ロボットなどが開発される。ドローン(飛行ロボット)は橋梁(きょうりょう)では点検データを、農場では作物の育成データを集める。事業省庁はロボット技術でデータを集め、AIで解析して高度化し、ロボットで具体化して、次のデータを集めるという循環ができている。
この循環を支えるのが文科省や経産省などの研究開発予算だ。文科省はAI研究に90億円を計上。データ数理人材の育成などを含めると133億円を投じてAI人材を育成する。経産省は中核技術の開発に62億円、システム構築技術に25億円などを要求した。さらにデータ活用・サービス開発を支援するために新しく40億円を計上した。自動運転やモノづくりなど5分野で事業開発に近い部分を支援する。
内閣府は325億円を計上した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)などの大型予算で民間と多省庁が参加するプログラムを運営する。SIPは大半のプログラムでAIやロボット技術が採用された。
ロボットAI技術は基礎研究から社会実装まで、個別省庁の施策から府省連携の横断型施策まで、さまざまな形態で運営されることになる。
課題は相乗効果の可視化だ。施策の実施主体となる研究者や研究機関は複数の事業を掛け持つことが多く、現場で技術やノウハウを融通してきた。例えば産業技術総合研究所と理化学研究所には、日本の抱える社会課題のうち技術で解けそうな課題はほぼすべて持ち込まれている。
一方で省庁側が現場の連携実態をとらえきれていないことが少なくない。財務省との折衝に向けて役割分担による重複回避でなく、連携による相乗効果を説明していく必要がある。
日刊工業新聞2018年8月31日