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2件目のシェアハウス倒産、そしてまだまだ続く…

ゴールデンゲイン、ここにもスルガ銀行の影
 スマートデイズの経営破綻に続き、2件目のシェアハウス業者の倒産が発生した。

東京23区内を主な営業エリアに、シェアハウスの開発・販売を手がけるゴールデンゲインは、債権者から破産を申し立てられ、5月22日に破産手続き開始決定を受けた。スマートデイズよりも規模的に小さいが、同社もまた短期間で急成長を遂げた。

設立は2015年3月。個人投資家向けにシェアハウスを中心に投資用不動産の開発・売買を手がけ、営業社員や役員の業界経験などを生かして順調に業容を拡大していった。用地販売後のシェアハウス建築請負からサブリースまで一貫して手がけた。

設立1期目の15年10月期は7カ月の変則決算ながら活発な営業が奏功し、年売上高は12億円強を計上した。翌16年10月期には、一気に年売上高約43億円にまで伸ばした。

だが、昨年後半に入ると風向きが変わった。「春頃から、当社物件のオーナー向けに融資していたスルガ銀行が融資姿勢を見直したといわれる」(業界関係者)なかで、新規の物件開発を抑制せざるを得なかった。

この間、同業者の台頭もあり競争が激化。年末には資金難に陥るなか、代表を除く役員全員が辞任に追い込まれた。

その後、ピーク時に30人超いた従業員も全員退職。事務所も3月に引き払い、会社との連絡手段が途絶えた。万策尽きる中で、5月22日に破産手続き開始決定を受けた。

同社が急成長から一転、倒産に至る過程を振り返ると、スマートデイズと軌を一にする道をたどったといえる。そして、この2社と同じ道をたどりそうなシェアハウス業者は他にもある。しばらくはシェアハウス業界への注目度は高い状態が続きそうだ。
(文=帝国データバンク情報部)
<会社プロフィル>
ゴールデンゲイン(株)
住所:東京都港区愛宕2−5−1
代表:日向司氏
資本金:1億円
年売上高:約43億円(16年10月期)
負債:約13億6900万円

日刊工業新聞2018年6月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
不動産業界は五輪関連の特需でホテルや大規模商業施設の建設ラッシュが起こり、オフィスビルも好調そのもの。あまりに価格が高騰したマンション分譲や一戸建て住宅では販売不振や在庫の問題があり、年明け以降、実際にいくつかの企業について先行きを不安視する声も上がり始めている。シェアハウス倒産が意味するのは、不動産業界で出始めた変調の兆しだろう。

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