GEやフォードにも寄りそった“シリコンバレー流文化”の伴走者
Pivotal、デジタル革新の新風を企業内に呼び込む
グーグルなどの巨大プラットフォーマーの発祥の地である米シリコンバレー。世界中から優れた頭脳や巨額な投資が流れ込み、イノベーションを生み出す仕組みが好循環で回っている。日本勢はこうした地の利に預かろうと“シリコンバレー詣”を活発化する。こうした中、日本に居ながらシリコンバレー流を実践し、デジタル革新の新風を企業内に呼び込もうとする新たな動きが出てきた。先導するのは米Pivotalソフトウエアだ。
「シリコンバレーの価値は“場所”ではなくて、“文化”だ。現地に人を送って開発しなくても、マインドセット(思考様式)は変えられる」と語るのは、Pivotalジャパン(東京都港区)の正井拓己代表だ。
89年創業のPivotal(ピボタル)はソフトウエア開発の老舗だ。中核に据えるのは仮説・検証を繰り返しながら改良する「リーンスタートアップ」や「アジャイル開発」などのソフトウエア開発手法。“プログラミングの神様”と称されるケント・ベックエクス氏らが考案・提唱する「エクストリーム・プログラミング(XP)」手法がその根幹にあり、ピボタルはそのコンセプト作りから協力してきた。
主力商品はPaaS(開発・運用環境のサービス提供)型の基盤ソフト「Pivotalクラウド・ファンドリー(PCF)」だ。単に販売するのではない。客先との共創の場「ピボタル・ラボ」を用意し、目的とする成果物を作りながら、アジャイル開発などの手法やシリコンバレー流の文化をユーザーに伝授している。
文化とは「失敗しながらも新しいことに挑む企業風土なども含まれる」(正井氏)。デジタル革新を勝ち抜くには変化への対応力とスピードが決め手となる。ゼネラル・エレクトリック(GE)やフォードなど海外の先進企業は新しい文化や改革の発信地として、ピボタル・ラボを戦略的に活用する。
ピボタルが持つノウハウはラボに凝縮されている。基本となるのはペアプログラミング。客先の開発担当とピボタルのエンジニアが2人1組となり、パイロット(操縦者)とコーパイロット(副操縦者)のような位置付けでプログラミングする。1チームは10―15人程度。ペアは日々入れ替えることで、開発中のコード(プログラム)を皆が理解し、品質などに責任を持つようにする。
ピボタル・ラボは従来型の請負仕事ではなく、客先に招いて共創型で開発する。期間は3―4カ月程度で一区切りとなる。この間は、ラボが参加メンバーの勤務地となる。共有スペースには卓球台があり、疲れたら軽く運動してリフレッシュするのもシリコンバレー流。18時になると仕事は定時で終了し、残業は一切ない。
仕事を早めに終わらせた後に飲みに行くのは日本流だが、実際にはその余力はない。みっちりと仕事をするためだ。エドワード・ハイアット米Pivotal上席副社長は「仕事を終えた時には、だれもがエネルギーが残っていない状態だ」と語る。ラボの体験者は「こんなに集中したのは社会人になって初めてだ」と口をそろえる。
一般にシステムエンジニア(SE)職といえば「きつい、厳しい、帰れない」の3Kのイメージが強い。客先に常駐して仕事を山のように抱えることも多々あるが、ピボタル・ラボでは「客先と直接会話しながら仕事をするため、チームとしての一体感や達成感が得られる」(正井氏)。こうした取り組みは日本企業が巨大なプラットフォーマーと戦う上で強力な武器となり、SEの働き方改革としても有益だ。
「シリコンバレーの価値は“場所”ではなくて、“文化”だ。現地に人を送って開発しなくても、マインドセット(思考様式)は変えられる」と語るのは、Pivotalジャパン(東京都港区)の正井拓己代表だ。
89年創業のPivotal(ピボタル)はソフトウエア開発の老舗だ。中核に据えるのは仮説・検証を繰り返しながら改良する「リーンスタートアップ」や「アジャイル開発」などのソフトウエア開発手法。“プログラミングの神様”と称されるケント・ベックエクス氏らが考案・提唱する「エクストリーム・プログラミング(XP)」手法がその根幹にあり、ピボタルはそのコンセプト作りから協力してきた。
戦略的に活用
主力商品はPaaS(開発・運用環境のサービス提供)型の基盤ソフト「Pivotalクラウド・ファンドリー(PCF)」だ。単に販売するのではない。客先との共創の場「ピボタル・ラボ」を用意し、目的とする成果物を作りながら、アジャイル開発などの手法やシリコンバレー流の文化をユーザーに伝授している。
文化とは「失敗しながらも新しいことに挑む企業風土なども含まれる」(正井氏)。デジタル革新を勝ち抜くには変化への対応力とスピードが決め手となる。ゼネラル・エレクトリック(GE)やフォードなど海外の先進企業は新しい文化や改革の発信地として、ピボタル・ラボを戦略的に活用する。
ピボタルが持つノウハウはラボに凝縮されている。基本となるのはペアプログラミング。客先の開発担当とピボタルのエンジニアが2人1組となり、パイロット(操縦者)とコーパイロット(副操縦者)のような位置付けでプログラミングする。1チームは10―15人程度。ペアは日々入れ替えることで、開発中のコード(プログラム)を皆が理解し、品質などに責任を持つようにする。
ピボタル・ラボは従来型の請負仕事ではなく、客先に招いて共創型で開発する。期間は3―4カ月程度で一区切りとなる。この間は、ラボが参加メンバーの勤務地となる。共有スペースには卓球台があり、疲れたら軽く運動してリフレッシュするのもシリコンバレー流。18時になると仕事は定時で終了し、残業は一切ない。
チームで達成
仕事を早めに終わらせた後に飲みに行くのは日本流だが、実際にはその余力はない。みっちりと仕事をするためだ。エドワード・ハイアット米Pivotal上席副社長は「仕事を終えた時には、だれもがエネルギーが残っていない状態だ」と語る。ラボの体験者は「こんなに集中したのは社会人になって初めてだ」と口をそろえる。
一般にシステムエンジニア(SE)職といえば「きつい、厳しい、帰れない」の3Kのイメージが強い。客先に常駐して仕事を山のように抱えることも多々あるが、ピボタル・ラボでは「客先と直接会話しながら仕事をするため、チームとしての一体感や達成感が得られる」(正井氏)。こうした取り組みは日本企業が巨大なプラットフォーマーと戦う上で強力な武器となり、SEの働き方改革としても有益だ。