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富士通が世界10カ国にAI・IoTの体感拠点、まずニューヨークとミュンヘンに

現地ユーザーやパートナー企業との交流を促す
富士通が世界10カ国にAI・IoTの体感拠点、まずニューヨークとミュンヘンに

写真は富士通ジャーナルより

 富士通は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの先進システムを体感・検証できるイノベーション拠点「デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)」を月内にも米ニューヨークと独ミュンヘンに開設する。実機による検証施設に加え、現地ユーザーやパートナー企業との交流を促すように空間デザインなども工夫する。2018年度中にはアジアなども含め、10カ国へ展開する方針だ。

 ニューヨークはIT投資に積極的な金融機関などが集積する激戦区。ドイツは「インダストリー4・0(第4次産業革命)」の本拠地で、ミュンヘンには欧州大陸と中東、アフリカ、インドを統括する富士通の現地法人がある。それぞれに楔(くさび)を打ち込む形で富士通ブランドを発信していく。客先との共創から新しいアイデアを生み出すなど、米シリコンバレー流の「デジタル・シンキング(思考)」の実践の場としての役割も担う。

 すでに国内では16年に東京・浜松町にDTCを開設し、IoTソリューションの企画・開発から試作検証、実システムの構築・運用までを総合的に支援するサポートサービスなども提供している。ここで培ったノウハウを生かし、海外展開に乗り出す。

 デジタル思考などの実践は独SAPや米アクセンチュアなどの外資系IT勢が先行し、日本を含め世界各地でイノベーション拠点を相次ぎ開設している。国内大手ではパナソニックが17年にシリコンバレーでデジタル・シンキングの実践に乗り出しており、富士通もこれに続く。
日刊工業新聞2018年5月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
富士通の海外売上高の全社比率は36・8%の1兆5068億円。中期ビジョンでは同50%に引き上げる方針。20年以降、国内ビジネス全体が頭打ちとなる中で、同社は欧米やアジアなど海外市場での成長シナリオを描いている。 (日刊工業新聞・斎藤実)

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