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寿司ネタ加工会社、代表交代後に倒産に追い込まれる

 デリッシュは1983年3月の設立。すしチェーン店向けにすしネタの加工販売を行い、96年5月期の年売上高は約18億円を計上していた。だが、近年はすしチェーン店が加工を海外に移転したり店内調理に切り替えたりしたことで売上高は漸減し、最終利益もようやく確保できる水準だった。

 そうした中で、当時の代表は経営権の委譲を検討。その後、紆余(うよ)曲折を経てX社の仲介により投資会社に買収され、経営陣も一新されることになった。

 この時に代表に就任した柳本友幸氏が、結局、投資会社の所有していた全株式を取得することで最終的には落ち着いた。ところが15年に入ると、不正リース契約が発覚する。

 こうした不正リースの手法をデリッシュに持ち込んだと目されるのが、前述のX社だ。X社は、デリッシュ以外の不正リース案件にも名前が出てくる“有名企業”だった。

 その後、金融機関向けに説明会を開催するとともに再建支援を要請したものの協力を得られない。15年8月以降は休眠状態となっていたが、18年1月17日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 金融機関などからは支払いを求め裁判を起こされ、デリッシュと柳本氏は敗訴。実は柳本氏が敗訴するのは、確認できる範囲内で2度目である。

 過去に某上場企業の取締役に就任した際、その筆頭株主が優越的地位を利用して55億円を流出させたとして、その上場企業が柳本氏らに損害賠償を請求し裁判となっていた。

 その後、上告審で柳本氏の敗訴(不受理)が13年10月に決定している。デリッシュの代表に就任した時期と一致するが、デリッシュでの捲土重来はならなかった。

 ターニングポイントは、代表の交代だった。新しい代表が外部から来た場合、その経緯を十分に確認する必要がある。
(文=帝国データバンク情報部)
株)デリッシュ
住所:東京都西多摩郡日の出町大久野6947−3
代表:柳本友幸氏
資本金:1500万円
年売上高:約8億600万円(14年5月期)
負債:約6億3764万円
日刊工業新聞2018年5月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
事業承継・企業再生では税理士、仲介業者、金融機関、ファンドなどの目利きは重要。出口戦略にビジョンがなければ、経営者の選定も間違えモラルハザードが起きやすい。

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