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仮想通貨危機に向き合う 「金融庁はホワイトハッカーを雇用しよう」

インプット・アウトプット香港CEOインタビュー
仮想通貨危機に向き合う 「金融庁はホワイトハッカーを雇用しよう」

チャールズ・ホスキンソン氏

 コインチェック(東京都渋谷区)による巨額の仮想通貨流出問題では同社の内部管理体制が厳しく問われただけでなく、仮想通貨への信頼も大きく失墜させた。仮想通貨のあり方が問われているなか、時価総額2位の仮想通貨「イーサリアム」の立ち上げに関わり、ハッカー被害「ダオ事件」も経験したインプット・アウトプット香港(IOHK)の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のチャールズ・ホスキンソン氏に業界として取り組むべき施策などについて聞いた。

 ―世界的に仮想通貨に対する規制強化の声が高まっています。
 「仮想通貨業界の企業トップの多くが規制に強く反対する立場を取っているが、私は仮想通貨空間には規制しなければならないものもあると考えている。問題は誰がどのように規制すべきか、社会はこの種の規制にいくらなら払うのかということだ。規制にも費用はかかる」

 ―日本では1月に約580億円分の仮想通貨が流出する問題が起きました。
 「交換所はハッキングされる可能性があり、(交換業者内でも)誰かが不正を働く可能性もある。起きたことはいまさらどうしようもできない。大切なのは混乱をどう収拾し、次に備えられるかだ」

 ―そのためにすべきことは。
 「仮想通貨交換業者がまとまって自主規制のための統一機関をつくる動きがある。今後は顧客の預かり資産に掛ける保険や、保管方法に関する統一的なセキュリティー基準を設ける必要がある。最善の道は協調して解決策を探すことだ」

 ―監督官庁の金融庁が交換業者への監視を強めています。
 「私は全ての交換業者に連帯責任の気持ちを持たせることが必要だと考えている。交換業者は既に自主規制機関という形で連帯責任の基礎的な構造を持とうとしている。そこにより強力な権限とその執行手段を与えればいいのではないか」

 「金融庁にも、一つ提案したいことがある。金融庁がホワイトハッカー(善良なハッカー)を雇用し、彼らに交換所のデータへの侵入やハッキングを試させるのだ。毎年、交換業者にライセンス料の一部を共同でプールさせておき、ハッキングが成功したらプール金を徴収し、失敗したら返金する。こうすることにより、交換所のセキュリティー対策の強化や交換業者が不正できない環境を構築することにもつながるだろう」
日刊工業新聞2018年4月13日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
2017年4月施行の改正資金決済法で利用者の保護規定は一定程度整備された。だが17年度は想定を越える諸問題が起きた。金融庁による仮想通貨をめぐる規制のあり方を再検討する有識者会議も始まったばかり。官だけでなく学者や弁護士らもさまざまな意見を出し合い、官民で追加のルールを作る必要がある。 (日刊工業新聞経済部・山谷逸平)

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