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JR東日本、次期社長の父は国鉄連絡船の船乗り

深沢氏の素顔、本人はヨット部
JR東日本、次期社長の父は国鉄連絡船の船乗り

深沢次期社長(右)と冨田哲郎社長

 4月1日付で深沢祐二副社長(63)が社長に昇格する人事を決めたJR東日本。発足31年目を迎えるのを機に、人口減少などで鉄道を取り巻く環境が大きく変化する次の30年を見据えて経営体制を刷新する。

 深沢次期社長は、人事、財務畑を歩んだ。同日、都内で開いた会見で「次の30年は厳しい環境が待ち構えている。信頼、安全、安定輸送をベースにチャレンジしていきたい」と話す。深沢氏の素顔とは?

 長らく社長候補の大本命と目されてきた。冨田哲郎社長が「引き継ぐことはない」と話すほどだ。冨田社長を最も近くで支え、ともに難題に立ち向かってきた。社長就任の打診にも動じることはなく即答した。会社の課題について誰よりも熟知するからこそ「グループを発展させていく責任を感じている」との言葉に笑みはない。

 30年前の国鉄改革で多くの仲間が鉄道の仕事を離れたのが忘れられない。根底には「2度と(大量離職を)起こしてはいけない」との誓いがある。東日本大震災も自らの仕事に大きな影響を与えた。地元自治体と膝詰めで話し合い、復興に全力で取り組んだ。

 北海道函館市出身。父親は国鉄連絡船の船乗りだった。大学時代はヨット部で、国鉄に進んだのは「体育会系を積極的に採用していたからだ」と話す。

 40歳を過ぎてからテニスをはじめ、休日は「体重コントロールのために」と汗を流す。家族は妻と1男1女。
【略歴】深沢祐二氏 78年(昭53)東大法卒、同年日本国有鉄道(現JRグループ)入社。06年JR東日本取締役、08年常務、12年副社長。北海道出身。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 冨田哲郎社長(66)は社長在任6年。東日本大震災で被災した路線の復旧や地域交通の再構築に尽力し、首都圏や新幹線で耐震補強を推進するなど、災害に強い鉄道づくりを進めた。北陸新幹線の金沢延伸や北海道新幹線の新函館北斗開業を実現、豪華周遊列車の投入などで地方への流動形成を狙った。ホテル、商業施設、エキナカ開発など非鉄道事業を加速。タイやインド、英国など海外事業も本格化させ、今後の成長の布石とした。 (日刊工業新聞第二産業部・小林広幸)

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