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椿本チエイン、EV化も好機になるコア技術の深み

大原社長に聞く「車1台当たりの動力伝達用チェーンの搭載量自体も増える」
椿本チエイン、EV化も好機になるコア技術の深み

大原靖社長

 チェーンや減速機、直線作動機といった一般産業用機械部品の販売が絶好調な椿本チエイン。以前からの基盤商品に加え、“ONE・ツバキ”を合言葉に事業部間の壁を取り払って、各事業のコア技術を組み合わせたユニーク商品が絶好調に拍車をかける。多様な製品を手がける同社ならではの強みを生かした新製品が新規顧客開拓に結びつく、好循環も生まれている。今後の製品戦略、事業展開を大原靖社長に聞いた。

 ―一般産業用機械部品の販売が好調です。
 「非常に忙しく、注文を一部お断りしている状況。当社商品は工場があれば必ずどこかに使われており、国内景気の良さが第一の背景。日本から中国に輸出するロボットや半導体製造装置向けの部品需要も多く、有機ELパネル製造装置向けにも部品をたくさん供給している。人手不足もあり、ロボット向けは絶好調が続きそうだ」

 ―減速機や直線作動機などのコア技術強化で、グループの総合力発揮を狙っています。
 「大型電動シリンダーの新商品は自社技術でコア部品を見直して小型化・低価格化し、従来品ではなかった油圧からの置き換えに活用されている。直線作動機の新製品はボールネジやウォームギアも内製できる強みを生かし、他社はどこも作れない毎秒200ミリメートルの高速運転領域を実現し受注が増えている。構成部品を調達する競合と違い、コア技術が多い当社はモノづくりの幅が広く、設計の自由度も高く、深みが増す。この手法は自動車部品事業にも応用する」

 ―自動車エンジン用タイミングチェーンドライブシステムが主力ですね。
 「当面はハイブリッド(HV)型とプラグインHV(PHV)型の車が主流となる。100%電気自動車(EV)も半分程度は発電機を積みそうだ。100%エンジン車がなくなっても、HVやPHV向けに加え、発電機用チェーンとなると推進中の生産増強で足らない可能性がある。さらにEV化で車1台当たりの動力伝達用チェーンの搭載量自体も増えそうで、制御系を含むユニット部品の開発に着手した」

 ―昨秋、変減速機関連などの生産販売子会社を吸収合併。モーションコントロール事業部に衣替えしました。
 「制御系をはじめ、面白い技術がたくさんあり、チェーンと組み合わせるなど、車載向けに限らず、さまざまな分野へ複合商品を提案していく。各事業をつなぐ神経のような役割が期待できる。制御機器、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)関連、監視・保全システムなども手がけていく」
(聞き手=大阪・松中康雄)
日刊工業新聞2018年3月19日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
チェーン、ギア、クラッチ、直線作動機、締結部品、制御機器など、多様な製品を扱う同社は17年に迎えた100周年を契機と捉え、技術の棚卸しと総合力発揮に向けた事業部間連携を本格化した。エンジン用部品を手がける同社のEV化対応に注目していたが、好機と捉えて総合力を生かした製品開発が進んでおり、期待値は高い。 (日刊工業新聞大阪支社・松中康雄)

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