ノンアルビール活況、サントリー5割増ももっと伸ばしたい!
健康志向も追い風。高齢者や女性など潜在需要も取り込みたい
ノンアルコールビール市場が、活況を呈している。2017年の出荷数量は前年比5・3%増の1863万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と、大幅に伸びた。18年に入ってからも、市場拡大は続いている。キリンビールが昨年、「キリン零ICHI」を発売してヒットさせたのを背景に、アサヒビールとサントリービール2社もそれぞれ商品を刷新。おいしさの向上とともに各社の販促強化効果も加わり、市場活性化へつながっている。
「2月の販売数量は前年比で56%増」―。サントリービールの担当者は胸を張る。2月13日に中身とパッケージを刷新発売し、ビール感やのどごしを向上。ビールの味わいを決める要素の一つである香りに注目し、香気成分を選抜しバランスをつくり、ガス圧も高めた。ファミリーレストランのランチタイムや野外イベントなどでサンプリング活動を展開し、普及を図る。
アサヒビールも1月下旬からドライゼロのクオリティーアップを実施した。原材料配合と素材の最適化で、ゴクゴクと飲めるすっきりした後味を実現。ドライなのどごしとクリーミーな泡によるビールに近い味わいが消費者にヒットして、17年は前年比7%増の697万ケースと販売数量を伸ばした。18年はこれの3%増、718万ケースを目指す。
この2社以上に17年販売数量の伸びが大きかったのが、キリンビールだ。もともとノンアルビール市場は同社が09年に「キリンフリー」を発売して先便をつけたが、その後の他社の参入と攻勢に押されてシェアが後退。再生を期して発売した零ICHIは一番搾りビールと同じ製法でつくった。他社のリニューアルを受けて18年2月上旬には同商品も麦を増量するなどして、売り込みを図る。
ノンアルビールはビールとは味が違うことが普及ネックになっていた。各社の努力で味が向上し、消費者が飲みやすくなったのが大きい。飲酒規制の強化や健康志向の拡大も、追い風になっている。
ただビールや缶チューハイに比べると、市場規模は圧倒的に小さい。販売数量はビール類全体の4%強にとどまっている。キリンが零ICHIを発売し、大手2社が対抗してリニューアルしても市場全体が拡大すれば各社が生き残れる確率はその分、高まる。
市場拡大には高齢者や女性などの、新しい飲用者の獲得も必要だ。
(文=嶋田歩)
「2月の販売数量は前年比で56%増」―。サントリービールの担当者は胸を張る。2月13日に中身とパッケージを刷新発売し、ビール感やのどごしを向上。ビールの味わいを決める要素の一つである香りに注目し、香気成分を選抜しバランスをつくり、ガス圧も高めた。ファミリーレストランのランチタイムや野外イベントなどでサンプリング活動を展開し、普及を図る。
アサヒビールも1月下旬からドライゼロのクオリティーアップを実施した。原材料配合と素材の最適化で、ゴクゴクと飲めるすっきりした後味を実現。ドライなのどごしとクリーミーな泡によるビールに近い味わいが消費者にヒットして、17年は前年比7%増の697万ケースと販売数量を伸ばした。18年はこれの3%増、718万ケースを目指す。
この2社以上に17年販売数量の伸びが大きかったのが、キリンビールだ。もともとノンアルビール市場は同社が09年に「キリンフリー」を発売して先便をつけたが、その後の他社の参入と攻勢に押されてシェアが後退。再生を期して発売した零ICHIは一番搾りビールと同じ製法でつくった。他社のリニューアルを受けて18年2月上旬には同商品も麦を増量するなどして、売り込みを図る。
ノンアルビールはビールとは味が違うことが普及ネックになっていた。各社の努力で味が向上し、消費者が飲みやすくなったのが大きい。飲酒規制の強化や健康志向の拡大も、追い風になっている。
ただビールや缶チューハイに比べると、市場規模は圧倒的に小さい。販売数量はビール類全体の4%強にとどまっている。キリンが零ICHIを発売し、大手2社が対抗してリニューアルしても市場全体が拡大すれば各社が生き残れる確率はその分、高まる。
市場拡大には高齢者や女性などの、新しい飲用者の獲得も必要だ。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2018年3月14日