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景気は良いのに希望・早期退職が5年ぶりに増加

上場企業で25社、今後も人員削減が続く可能性
 東京商工リサーチは2017年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業が25社と、前年の18社から7社増え、5年ぶりに前年を上回ったとする調査結果をまとめた。業績不振による人員削減に加え、業績が好調な時に将来のビジネス展開を見据えて既存事業の構造改革を進める“攻め”の希望・早期退職を実施する企業が増えたという。

 17年の募集人員の最多はニコン(グループ会社を含む)で1000人。次いで、スズケン(同)と、みらかホールディングス(同)がそれぞれ350人、ジャパンディスプレイの240人、スリーエフの180人だった。

 募集・応募人数が100人以上は前年と同じ8社。業種別では日立国際電気、ジャパンディスプレイ、ウシオ電機など電気機器が8社で最多となった。

 希望・早期退職者募集を実施した上場企業は、リーマン・ショック直後の2009年に191社に達したが、円安で輸出産業を中心に大手企業の業績が好転した13年から減少傾向になった。16年は調査開始以降で最少の18社だった。

 東京商工リサーチは企業競争力を高めるための人員適正化など次の事業展開を視野に入れた人員削減が今後も続く可能性があると予測している。
                   

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
単なる業績不振のリストラとは別に攻めの構造改革は増える。これから1社あたりの雇用数は確実に減っていく。今ですら時価総額がトップ級の企業の従業員数は、昔より少ない。労働集約型から知識集約型に移る上で、必然の流れだろう。企業は雇用の規模ではなく、1人当たりの生産性を誇るようになる。

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