「パンダ債」の利用拡大は?
邦銀2行が発行認可取得も
中国本土に居住していない企業などが発行する人民元建ての債券「パンダ債」を、日本企業も発行できるようになった。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が中国当局から発行の認可を取得した。今後、金融機関以外の事業会社の発行が見込まれるが、日本企業によるパンダ債の利用が拡大するかは予断を許さない。
2017年12月、金融庁と中国財政部が日中間の監査監督上の協力に関する書簡を交換し、日本企業によるパンダ債の発行が可能となった。これまで日本企業の中国現地法人が元建て債券を発行したケースがあるが、日本企業自体の発行は認められていなかった。
パンダ債は05年に発行が始まった。第1号は国際金融公社(IFC)とアジア開発銀行(ADB)で、14年には独ダイムラーが民間企業として初めて発行。マレーシアの民間銀行なども発行した。16年の発行額は1000億元(約1兆7000億円)強とされ増加基調にあるという。
今回、日本企業もパンダ債が発行できるようになったことで、機動的な人民元の調達につながる可能性がある。発行できれば為替リスクを回避する効果もある。
みずほ銀と三菱東京UFJ銀は早速、中国当局の中国人民銀行から発行認可を取得。発行額はそれぞれ5億元(約85億円)、10億元(約170億円)で期間は3年を予定している。銀行自体の安定した人民元調達ルートの確保につなげることもあるが、パンダ債発行のノウハウをためて顧客の事業会社が発行する際に生かす狙いもある。
今後の事業会社の動きについて、大和総研の齋藤尚登主席研究員は「中国を重要地域と位置付ける小売りや自動車などでパンダ債のニーズがありそうだ」とみる。
一方で齋藤氏は「今回の書簡交換は日中関係の改善のシグナルが出る中で象徴的な出来事だ。逆に関係が冷え込むと利用できなくなる恐れがあり、常に外交リスクに左右される」とも指摘する。
2017年12月、金融庁と中国財政部が日中間の監査監督上の協力に関する書簡を交換し、日本企業によるパンダ債の発行が可能となった。これまで日本企業の中国現地法人が元建て債券を発行したケースがあるが、日本企業自体の発行は認められていなかった。
パンダ債は05年に発行が始まった。第1号は国際金融公社(IFC)とアジア開発銀行(ADB)で、14年には独ダイムラーが民間企業として初めて発行。マレーシアの民間銀行なども発行した。16年の発行額は1000億元(約1兆7000億円)強とされ増加基調にあるという。
今回、日本企業もパンダ債が発行できるようになったことで、機動的な人民元の調達につながる可能性がある。発行できれば為替リスクを回避する効果もある。
みずほ銀と三菱東京UFJ銀は早速、中国当局の中国人民銀行から発行認可を取得。発行額はそれぞれ5億元(約85億円)、10億元(約170億円)で期間は3年を予定している。銀行自体の安定した人民元調達ルートの確保につなげることもあるが、パンダ債発行のノウハウをためて顧客の事業会社が発行する際に生かす狙いもある。
今後の事業会社の動きについて、大和総研の齋藤尚登主席研究員は「中国を重要地域と位置付ける小売りや自動車などでパンダ債のニーズがありそうだ」とみる。
一方で齋藤氏は「今回の書簡交換は日中関係の改善のシグナルが出る中で象徴的な出来事だ。逆に関係が冷え込むと利用できなくなる恐れがあり、常に外交リスクに左右される」とも指摘する。
日刊工業新聞2018年1月12日