“オーダーメード”細胞シート、傷による癒着を防ぎ回復を早める効果
横浜国大などが作製法開発
横浜国立大学大学院の福田淳二准教授、小林優香大学院生、関東学院大学の本間英夫特別栄誉教授らは、手術後の傷や臓器の形状に合わせた細胞シートの作製法を開発した。MRI(磁気共鳴断層撮影装置)の画像から患者の体に合わせた鋳型を作り、その表面で細胞を培養する。手術後の傷による癒着を防ぎ、回復を早める効果が期待できる。2018年度中にも横浜市立大学医学部と、動物を使った実験を始める。
細胞シートは患者自身の細胞を培養し患部に貼り付けて細胞を定着させる。ただ、既存の平らな細胞シートは、ひだのある複雑な構造をした小腸や大腸などへの移植が難しかった。
福田准教授らが開発した手法は、内臓の形状をMRI画像から3次元化し、3Dプリンターの手法の一種「マイクロ光造形法」を使って鋳型を作る。内臓と同形のシートができるため定着しやすく、シートのムダも減る。
研究チームは3ミリ―4ミリメートルのウサギの形をした鋳型を作製した。その表面に、細胞に毒性のある金属を含まない生体適合性メッキ加工を施した。メッキの表面に短いたんぱく質をコーティングし、その上で細胞培養したところ、ウサギの形をした細胞シートが作製できた。この細胞シートに電位印加するとメッキ層とたんぱく質の結合が切断され、約5分でシートが鋳型から脱離できる。細胞シートをマウスの腹腔膜に移植し1週間後に観察したところ、移植した細胞シートは体内で定着していた。
既存の細胞シートは温度応答性ポリマーと呼ばれる材料の上で培養し、20度Cに下げてから約1時間かけて脱離する。福田准教授は「短時間で細胞シートを脱離できると移植が迅速にでき、細胞死を起こしにくくなる。血管のような構造のシートも作れる」と期待を述べた。
細胞シートは患者自身の細胞を培養し患部に貼り付けて細胞を定着させる。ただ、既存の平らな細胞シートは、ひだのある複雑な構造をした小腸や大腸などへの移植が難しかった。
福田准教授らが開発した手法は、内臓の形状をMRI画像から3次元化し、3Dプリンターの手法の一種「マイクロ光造形法」を使って鋳型を作る。内臓と同形のシートができるため定着しやすく、シートのムダも減る。
研究チームは3ミリ―4ミリメートルのウサギの形をした鋳型を作製した。その表面に、細胞に毒性のある金属を含まない生体適合性メッキ加工を施した。メッキの表面に短いたんぱく質をコーティングし、その上で細胞培養したところ、ウサギの形をした細胞シートが作製できた。この細胞シートに電位印加するとメッキ層とたんぱく質の結合が切断され、約5分でシートが鋳型から脱離できる。細胞シートをマウスの腹腔膜に移植し1週間後に観察したところ、移植した細胞シートは体内で定着していた。
既存の細胞シートは温度応答性ポリマーと呼ばれる材料の上で培養し、20度Cに下げてから約1時間かけて脱離する。福田准教授は「短時間で細胞シートを脱離できると移植が迅速にでき、細胞死を起こしにくくなる。血管のような構造のシートも作れる」と期待を述べた。
日刊工業新聞2018年1月4日