ニュースイッチ

磁気センサーで自動運転、愛知製鋼がきょう公道実証

2020年までの実用化を目指す
磁気センサーで自動運転、愛知製鋼がきょう公道実証

磁気マーカーシステムのイメージ

 愛知製鋼は10日、同社の高感度磁気センサー「MIセンサ」を活用して自動運転車両の位置を精密に測定するシステムを開発したと発表した。道路に敷設した磁石からの微弱な磁気をMIセンサが読み取り、自車位置を誤差約5ミリメートル以内で測定できるという。11日から国土交通省が滋賀県で実施する自動運転バスの実証実験に磁気マーカーシステムとして提供し、2020年までの実用化を目指す。

実証実験は国土交通省などが中山間地域での自動運転サービスの実用化に向けて実施する。自動運転技術を開発する先進モビリティ(東京都目黒区)の自動運転バスの底部にMIセンサを24個取り付け、路面に埋めた磁気マーカー(フェライト磁石)に沿って走るようにステアリングを制御する。磁気マーカーシステムの公道実験は国内初という。

MIセンサは「磁気インピーダンス」と呼ばれる作用を利用して磁気を検知するセンサー。愛知製鋼はこれまでスマートフォンなどの位置測定向けに1億4000万個以上の生産実績がある。今回の実証実験向けに従来の携帯電話用の100倍の感度を持つ新しいMIセンサを開発した。

自動車メーカー各社が開発中の自動運転車は現在、全地球測位システム(GPS)やカメラセンサーなどを使うものが主流だが、トンネル内や悪天候時の信頼性に課題も残る。一方、磁気マーカーを用いた自動運転システムは天候や場所に左右されず自車位置を特定できる利点がある。
車両の底部に設置するMIセンサのモジュール(左)と磁気マーカー(右)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
気検知システムを用いた自動運転の研究は90年代から日本や米国などで続けられているが、実用化には磁気マーカーの敷設コストが壁となっている。愛知製鋼は今後、道路工事などを手がけるNIPPO(東京都中央区)と共同で手押し台車型の磁気マーカー敷設機も開発するという。

編集部のおすすめ