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AIのCFOがあなたの会社に来る日は近い!?
freee・佐々木大輔氏インタビュー
ユニコーン企業(時価総額が10億ドル以上)が続出している海外と比べ、日本のフィンテックベンチャーはまだ小粒。それでもユニコーン間近の企業も現れ始めており、クラウド型会計ソフトを手がけるfreeeもそんな中の1社。2013年3月に「クラウド会計ソフト freee」をリリース以来、中小企業を中心に顧客は80万ユーザーを突破し急成長を遂げている。freee創業者・代表取締役の佐々木大輔さんに、中小企業とフィンテックの関係などについて聞いた。
―前職のグーグル時代に、中小企業のテクノロジー導入が遅れていることに問題意識を持ったことが、創業につながったそうですが。
「多くの企業がファクスを使って仕事をしていることにショックを受けた。日本に来た外国人の上司もやはりびっくりしていた。ファクスが並ぶ日本企業のオフィスは、ニューヨークタイムズでも時代遅れとして報じられていたほど。(freeeが創業した)5年前だと、中小企業で使われていたクラウドサービスはメールやカレンダーが中心。(中小企業の)クラウドサービスの利用率は17%にすぎず、米国の3分の1にとどまっていた」
―それはユーザー側の意識の問題なのでしょうか?
「いや供給側の問題だ。中小企業で働く人たちにはそんな難しいことは分からないだろうと決めつけてしまっていたし、中小企業が何を求め、そこに向けてどう作り込み、どう売り込んでいくのかといったノウハウを誰も持っていなかった。私も創業時には、中小企業向けのクラウドサービスなんて上手くいかないからやめておいた方がいいと、何度も忠告された」
「加えて、SaaS型のクラウドサービスの企業を創業しにくい環境もあった。パッケージソフトであれば一定数を売れば早期に黒字化できるが、SaaS型のクラウドサービスではユーザーが増えるほど費用も増える。一方で収入は毎月の利用料だから、どうしても回収は長期にわたる。そのため成長段階ではユーザーを獲得すればするほど赤字になるのだが、日本では(金融機関などが)黒字経営を好む傾向にあり、ベンチャーキャピタルも赤字の成長企業を評価するノウハウが十分でなかったため、これまで投資実績がなかった。当社では米国のベンチャーキャピタルなどが投資してくれたから、ビジネスモデルを適性に評価してもらえた」
―この5年で中小企業を巡る状況は変化してきましたか?
「変わってきたと思う。まずクラウドサービスについて、“セキュリティは大丈夫?”なんて聞かれなくなった。むしろクラウドにデータを置いていない方が危険だと認識されるようになっている。会計ソフトの場合、創業1年未満の企業だとクラウド会計の利用率が半分を超えている。これらの企業が年数を重ねていけば、いずれクラウドサービスの方がメーンストリームになる。もちろんこれだけでは何十年もかかってしまうので、既存の中小企業への働きかけもサービス開始当初から行っている。会計ソフト以外でも、中小企業が外国人を雇うためのビザ申請サービスに特化したものなど、さまざまなクラウドサービスが登場している。振り返ってみれば、(freeeが創業した)2012年はこのような産業が生まれ始める転機だったのだろう」
―周囲からは反対されたとのことですが、freeeのクラウド会計は当初から順調にユーザー数を伸ばしています。
「開発中にデモを見せても、まったく良い評価が返ってこなかった。しかしいざリリースしたら、インターネット上で個人事業主を中心とした口コミであっという間に中小企業にも広がった。これは想定外だった。“何でこんなサービスがこれまでなかったのか”といった反応があり、多くの方にファンになってもらえた。どんなサービスでも、まずイノベーター(新しいものを真っ先に導入する層)に使ってもらい、しっかり評価してもらうことが重要。そこから広げていく。最初から中小企業全体に対してマーケティングするとうまくいかない」
<次のページ、フィンテックは『個』を強くする>
―前職のグーグル時代に、中小企業のテクノロジー導入が遅れていることに問題意識を持ったことが、創業につながったそうですが。
「多くの企業がファクスを使って仕事をしていることにショックを受けた。日本に来た外国人の上司もやはりびっくりしていた。ファクスが並ぶ日本企業のオフィスは、ニューヨークタイムズでも時代遅れとして報じられていたほど。(freeeが創業した)5年前だと、中小企業で使われていたクラウドサービスはメールやカレンダーが中心。(中小企業の)クラウドサービスの利用率は17%にすぎず、米国の3分の1にとどまっていた」
クラウドサービスなんて上手くいかない?
―それはユーザー側の意識の問題なのでしょうか?
「いや供給側の問題だ。中小企業で働く人たちにはそんな難しいことは分からないだろうと決めつけてしまっていたし、中小企業が何を求め、そこに向けてどう作り込み、どう売り込んでいくのかといったノウハウを誰も持っていなかった。私も創業時には、中小企業向けのクラウドサービスなんて上手くいかないからやめておいた方がいいと、何度も忠告された」
「加えて、SaaS型のクラウドサービスの企業を創業しにくい環境もあった。パッケージソフトであれば一定数を売れば早期に黒字化できるが、SaaS型のクラウドサービスではユーザーが増えるほど費用も増える。一方で収入は毎月の利用料だから、どうしても回収は長期にわたる。そのため成長段階ではユーザーを獲得すればするほど赤字になるのだが、日本では(金融機関などが)黒字経営を好む傾向にあり、ベンチャーキャピタルも赤字の成長企業を評価するノウハウが十分でなかったため、これまで投資実績がなかった。当社では米国のベンチャーキャピタルなどが投資してくれたから、ビジネスモデルを適性に評価してもらえた」
―この5年で中小企業を巡る状況は変化してきましたか?
「変わってきたと思う。まずクラウドサービスについて、“セキュリティは大丈夫?”なんて聞かれなくなった。むしろクラウドにデータを置いていない方が危険だと認識されるようになっている。会計ソフトの場合、創業1年未満の企業だとクラウド会計の利用率が半分を超えている。これらの企業が年数を重ねていけば、いずれクラウドサービスの方がメーンストリームになる。もちろんこれだけでは何十年もかかってしまうので、既存の中小企業への働きかけもサービス開始当初から行っている。会計ソフト以外でも、中小企業が外国人を雇うためのビザ申請サービスに特化したものなど、さまざまなクラウドサービスが登場している。振り返ってみれば、(freeeが創業した)2012年はこのような産業が生まれ始める転機だったのだろう」
ネット上でファンが広がる
―周囲からは反対されたとのことですが、freeeのクラウド会計は当初から順調にユーザー数を伸ばしています。
「開発中にデモを見せても、まったく良い評価が返ってこなかった。しかしいざリリースしたら、インターネット上で個人事業主を中心とした口コミであっという間に中小企業にも広がった。これは想定外だった。“何でこんなサービスがこれまでなかったのか”といった反応があり、多くの方にファンになってもらえた。どんなサービスでも、まずイノベーター(新しいものを真っ先に導入する層)に使ってもらい、しっかり評価してもらうことが重要。そこから広げていく。最初から中小企業全体に対してマーケティングするとうまくいかない」
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