【連載】アジアに臨む・沖縄特区のモノづくり#03 震災後4ヶ月で立地、輸出拠点に

製造業“不毛の地”のいま。リスク避け沖縄へ、所得控除の効果大

 製造業が根付きにくく、かつては「不毛の地」とも言われた沖縄。だが、そこに根を張り、アジアに向けて枝葉を伸ばし“果実”を得られるようになった。その沖縄から内外を見据え、奮闘するモノづくり企業を紹介する。

 2011年3月、流量計メーカーの東京計装(東京都港区)は、生産の一部移転を迫られていた。地震、原発事故、電力不足。横浜の拠点では事業継続の不安が大きい。特に主力分野である半導体関連向けは、供給に問題が起きれば死活問題となる。当時、原発事故による放射線の風評からも逃れる必要があった。すぐに操業できる場所はどこか。理想の地は沖縄にあった。

 うるま市に沖縄工場として立地したのは同年の7月。経済特区の国際物流拠点産業集積地域で、沖縄県が整備する賃貸工場に入居しスピード稼働を実現した。緊急避難的な経緯だったが今はグループの輸出拠点だ。

 15年1月に法人化した。現地雇用15人などの要件を満たし、国と県の事業認定を取得した。特区の優遇措置では適用例が少ない、10年間の法人所得40%控除を受ける。利益上積み効果は数千万円。杉亮一社長は「売り上げで稼ぐと考えれば、メリットは大きい」と話す。

 客先である半導体分野の好況もあり、生産高は年々増している。主力は現地採用社員で給与水準は本社と同じだ。「製造責任でクレームになったことはない」と誇る。「ただ安定まで4年かかった」とも。

 沖縄東京計装は東アジアの部品工場からの輸入窓口も担っている。関税の課税を適時化する保税蔵置場を社内に設置。自社通関によってコストを低減した。

 一方、地理的立地に起因する輸送コストからは逃れられない。今は行政の補助があるが永続的ではない。「誘致企業の安定成長のため、成功しているからこその補助があってもよいのでは」と杉社長は投げかける。立地をどう生かし、課題をどう克服するか。沖縄でのモノづくり振興に長期的視点が求められている。

■企業概要■
◇企業名=沖縄東京計装◇本社=沖縄県うるま市◇代表者=杉亮一社長◇製造品=流量計、流量制御装置


〈次回は6月22日に掲載予定〉
#1半導体検査装置を直接輸出「沖縄先端加工センター」
#2アジアのセントラルキッチン「アンリッシュ食品工業」

日刊工業新聞2017年6月21日

三苫 能徳

三苫 能徳
06月23日
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法人所得控除4割などを「目玉」とする特区制度ですが、他の税制優遇措置などとともに、今のところ2018年度で終了とされています。これまで5年間の延長期間だったのですが、適用数が少ないとの理由などから2年間の延長に留まりました。もし次の延長がなくなれば、企業誘致の訴求力は大きく低下します。そのため沖縄県は、相談窓口を設置するなど企業の適用例を増やし、延長につなげようと躍起になっています。

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