【連載】アジアに臨む・沖縄特区のモノづくり#02 アジアのセントラルキッチン

製造業“不毛の地”のいま。独自の冷凍技術で食品を輸出

 製造業が根付きにくく、かつては「不毛の地」とも言われた沖縄。だが、そこに根を張り、アジアに向けて枝葉を伸ばし“果実”を得られるようになった。その沖縄から内外を見据え、奮闘するモノづくり企業を紹介する。

 独自の凍結技術とアジアの近さを武器に、沖縄でセントラルキッチン機能を設けて事業展開するのがアンリッシュ食品工業だ。国内約650の産地からブランド肉や魚介類などを冷凍状態で沖縄に集める。食材は自社技術「プロトン凍結」で鮮度を保つ。調理後に再凍結し、大手百貨店のおせち料理やギフトとして全国の食卓に届けている。

 同社は凍結機メーカーの菱豊フリーズシステムズ(奈良市)のグループ企業。沖縄の経済特区である国際物流拠点産業集積地域の賃貸工場に入居したのは2016年7月。工場完成式典で二宮大朗社長は「熱烈なラブコールを受けて立地した」と関係者にあいさつした。

 進出の狙いは、需要増から奈良で手狭になっていた食品加工機能の移管と、凍結機の自社生産を開始することだ。いずれも今後の成長市場と目する、アジアへの近さが決め手となった。

 グループのアジア展開は沖縄で担う。16年10月には和総菜やすしなどを、マレーシアの自社店舗に向けて初輸出。東南アジア展開はまだテスト要素も強いが「奈良で入ってこない情報が沖縄なら入る」(担当者)など肌で近さを感じている。

 一方、国内との物理的距離は開き、国内での原料調達と製品配送のコスト上昇は否めない。しかし、あくまで照準はアジア。17年に稼働した凍結機製造でも小型機の生産拠点と位置付ける。4年後までに海外販売が国内を上回る計画だ。

 食品と機械の2本柱が立ち上がり、今後は特区の優遇制度活用も目指す。“メード・イン・沖縄”のメリットを最大限に享受するべく、次はそれらの柱を太くする段階になる。

■企業概要■
◇企業名=アンリッシュ食品工業◇本社=沖縄県うるま市◇代表者=二宮大朗社長◇製造品=加工食品、凍結機


〈次回は6月22日に掲載予定〉

#1 半導体検査装置を直接輸出「沖縄先端加工センター」

日刊工業新聞2017年6月14日

三苫 能徳

三苫 能徳
06月15日
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有名百貨店のブランドおせちが、沖縄でつくられていると聞いた時は驚きました。プロトン凍結法は、解凍時に細胞が壊れて劣化しないように冷凍する技術。ネタの乗ったすしを、そのまま冷凍、そのまま解凍できるそうです。

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