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1台50万円の無人草刈りロボット、農水省が官民共同開発

規模拡大で障害の雑草管理を自動化
農林水産省は官民共同で、低価格の無人草刈りロボットを開発する。現在の草刈り機は人が運転する乗用型で、1台当たりの価格は100万円程度。これを必要な機能のみに絞り込みつつ、無人型にすることで50万円と大幅に引き下げる。2016年度補正予算を充てる。実現の時期は、19年度末がめど。農業法人の規模を拡大する上で障害となっている雑草管理を自動化し、労働力不足の解消を狙う。

 農林水産省は産業技術総合研究所、太洋産業貿易(横浜市港南区)、キャニコム(福岡県うきは市)などと共同で、無人草刈りロボットの開発に取り組む。

 中山間地の農業は、草刈り作業が大きな負担になっている。平たん地の水田と違い斜面も多いため、ロボットの導入が難しく手作業で行うケースもある。乗用型の草刈り機では、転倒した場合に大事故につながりかねないといった安全性の問題もある。こうした実情を踏まえ、無人型ロボを構想した。

 乗用型草刈り機をベースに、動力をエンジン式からバッテリー式にすることで軽量・小型化する。これにより、急斜面でも作業ができるようにする。

 農水省の試算によると、水田面積が15万平方メートルの中山間地の農業法人の場合、無人ロボの活用により草刈り作業時間を従来の225時間から75時間と、半分以下に減らせる。草刈りのコストも、22万5000円から17万5000円と、2割引き下げられる。

 斜面を走行するため、足回りはブルドーザーのような無限軌道のクローラー(履帯)を想定。乗用型草刈り機と比べ、遜色のない能力を目指す。
日刊工業新聞2017年4月11日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
農業法人の中には、草刈りを専門業者に委託するケースもある。だが、「乗用型だとドライバーが運転するため人件費がかかるほか、日程調整も必要になる」(農水省)。無人ロボだとこの手間やコストが必要ないため、農水省は使い勝手が増すと見ている。

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