初代プリウスPHV、良い製品だったけど良い“商品”ではなかった

開発者が語る2代目、一番アピールしたいポイントはEVの走り

【トヨタ自動車ミッドサイズビークルカンパニーMS製品企画ZF主査・金子將一氏】

 初代「プリウスPHV」は良い製品だったけど良い「商品」ではなかった。だから市場に受け入れてもらえなかった。今回2代目は、そうした反省を踏まえ、お客さまの生の声をしっかりと聞き、良い製品かつ良い商品を届けようと開発した。

 改善点は大きく三つ。一つ目はEV(電気自動車)走行の充実。初代のお客さまに話を聞くと「エンジンがかかるとがっかりする」と言われた。我々としては、せっかくそこにエンジンがあるんだから仕事をしてもらった方が効率的と考えたが世の中のニーズはそうじゃなかった。

 今回エンジンをかけずに暖房をかけられるヒートポンプエアコンやエンジンがかかっていた領域の一部を充電用モーターが助けるデュアルモータードライブの採用で課題を克服した。EV走行距離も電池容量を2倍にして初代の26・4キロメートルから2倍以上に伸ばした。

 二つ目はデザイン。このクルマは価格がプリウスのハイブリッド車(HV)より約80万円高いが、それなら特別感が欲しいという声が多かった。今回、勇気のいる決断だったがフードやフェンダーまで変えた。そこまで変えないと(プリウスHVと)違うクルマとして受け取ってもらえないと思った。

 そして三つ目が充電。今回は100ボルト6アンぺアの家庭用コンセントで充電できる。特別な配線工事が必要ないので納車後すぐにEV走行を楽しめる。急速充電にも対応させた。

 ソーラー充電も特徴だ。ついに太陽光を走るエネルギーにすることができた。日中、屋外駐車すれば1日当たり平均約3キロメートルのEV走行距離相当分を充電する。年間では約1000キロメートル。一般的な年間走行距離が1万キロメートルぐらいだから、その1割はガソリンも入れず充電もせずに走れる計算だ。

 新型プリウスPHVの私が個人的に一番アピールしたいポイントはEVの走りの良さ。EVはスーッと発進する気持ちよさがあるが、それをどんどん良くすると今度はコントロール性が問題になる。何度も何度もプログラムを書き換えて、走りがいいけどコントロールもしやすいというところを追究した。そんなところにも注目して乗ってもらえたら。
金子將一氏

日刊工業新聞2017年4月11日

日刊工業新聞 記者

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04月11日
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2012年発売の初代プリウスPHVは、累計販売約7万5000台にとどまった。2代目は発売1カ月の受注台数が月販目標の5倍に当たる1万2500台と好調な滑り出し。今後、他車種への展開も計画するPHVのリーディングモデルとして今度こそ市場に受け入れられるか。トヨタのエコカー戦略上、重要な車種となる。
(日刊工業新聞名古屋支社・伊藤研二)

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