ランニングシューズの靴ひもが、中国から国内生産に切り替わった理由

小ロット、短納期ニーズに“メード・イン・ジャパン”のブランド力が加わる

 ツインズ(千葉県船橋市、梶原隆司社長)は、中国で委託製造していた靴ひも「キャタピラン」を2016年4月に全て国内生産に切り替えた。製造コストだけでなく、納期の短縮化や小ロット対応が可能になることから、国内生産に優位性があると判断。同時に海外での販売体制構築にも力を入れる。製品のユニークさとともに、日本製の品質の高さを訴求し、市場開拓を進めている。

 キャタピランはナイロンとゴムを特殊製法で編み込み、10ミリ―15ミリメートル間隔で球状のコブをつけた靴ひも。結ぶ必要がない。

 靴の穴に通すだけで、コブが引っかかり固定できる。13年の発売以降、ランナーなどの間で人気が高まり、今では年間約120万セットを売り上げる同社の主力製品に成長した。

 従来は人件費の安さから中国で製造していたが、海外展開を進める中で、“メード・イン・ジャパン”のブランド力の高さに着目。国産化には人件費削減が不可欠だとして工程の効率化を進めた。

 製紐機(せいちゅうき)をメーカーと共同開発し、製紐工程の自動化に成功。これにより、16年頭には国内製造比率を70%に引き上げても採算性があると判断し、国産への切り替えに着手した。

 「自動化が進み、人件費の比率はどんどん小さくなる。小ロット、短納期のニーズが多いことを考えれば、国産のメリットの方が大きい」と梶原社長。部活動などでチームカラーのキャタピランが欲しいという声は多かったが、中国で生産する場合、数千個単位での発注となるため受けられなかった。
キャタピランの製紐工程

マラソン大会の参加記念品としての引き合いも


 また、最近はマラソン大会などの参加記念品としての引き合いも多い。中国生産では納入に数カ月かかるが、イベントでの採用決定は納入の1カ月前程度になるケースが多い。国内自社ライン製造なら、数十個単位で仕様を変えられ、2―3週間で納入できる。

 こうした提案先拡大による売り上げ増に加え、輸送費や海上保険料、関税、不良率や検査費、在庫コストなどを詳細に試算し、16年4月に完全国産化に踏み切った。国内委託製造に加え、自社配送センター内にも約5000万円を投じて13ラインを設置した。

 今後は研究開発に一層力を入れ、新製品投入の頻度も上げる考えだ。「国内は試作用の素材も手に入りやすい。国産にしたことで顧客のニーズや改善要望を素早く反映できるようになった」(梶原社長)と、試作面でも国産化の優位性を感じているという。ランナー向けに加え、子供用やダンス用などシリーズを拡充していく。
(文=千葉・曽谷絵里子)

日刊工業新聞2017年3月22日

日刊工業新聞 記者

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03月22日
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併せて欧米を中心とした海外市場の開拓を進める。16年12月に米フロリダ州オーランドに、米国企業との合弁販売会社、キャタピーUSAを設立した。ランニング人口の多い米国では日本の5倍程度の市場があるとみており、マラソン大会会場などに出展し、マーケティング展開を強めている。梶原社長は「メード・イン・ジャパンをベースに品質や信頼性を訴求し、欧米での知名度を上げる」と意気込む。
(日刊工業新聞千葉支局・曽谷絵里子)

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