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“はさみ”メーカーがショールームを重視する理由

水谷理美容鋏製作所、ショールームは研究開発の拠点
“はさみ”メーカーがショールームを重視する理由

高い技能を持つ職人が再研磨・調整する。浅草の新拠点は新製品の研究開発も担う

 水谷理美容鋏製作所(千葉県松戸市、水谷裕一社長、047・383・2620)は、東京・浅草のショールームで理美容鋏の再研磨・調整に乗り出した。理美容師の利便性を考慮し、その場で対応するのが特徴で、1丁当たり30―60分間で再研磨と調整ができる。また同ショールームに開発機能も持たせ、国内外の有名理美容師と共同で研究開発する拠点と位置付ける。

 メーカーが理美容鋏を再研磨・調整する場合、いったん預かって対応するのが一般的。この場合、理美容師が普段使っている鋏が一時的に使用できなくなる。メーカーに直接郵送しても手元に戻ってくるまでに5―7日間かかるという。

 この問題を解決するため、浅草ショールームで再研磨・調整を始めることにした。理美容師にとっては高い技能を持つ職人と直接やりとりしながらの再研磨・調整とともに、溶接加工などを含めたカスタマイズも可能となる。

 職人にとってはユーザーと対話することで、ニーズを直接吸収でき、開発に生かせるなどのメリットがある。水谷社長は「時間のロスだけではなく、コミュニケーションのロスとミスもなくせる」とシナジー(相乗効果)を期待する。

 現在、浅草ショールームを拠点に米国の女性理美容師と共同開発を進めており、2019年前半に商品化する。水谷社長は一流理美容師との共同開発について「13回もつくり直したことがある。大変だが、商品に磨きがかかる」と説明する。

 今後は交通アクセスのよく、人が集まりやすい浅草を出口戦略重視の研究開発拠点とし、本社では基礎研究に重きを置く方針だ。
日刊工業新聞2018年11月22日

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