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5Gで大型建機を遠隔操作、災害復旧に役立つか

KDDIなど、高精細画像で作業効率向上
5Gで大型建機を遠隔操作、災害復旧に役立つか

無人建機を遠隔施工した

 KDDIと大林組、NECの3社は15日、第5世代通信(5G)を活用した建設機械の遠隔操作に成功したと発表した。建機に設置した高精細カメラの映像などを遠隔地の操作室に5Gで伝送し、その映像を基に建機を操作してがれきなどを移動させた。災害復旧などの危険な現場では建機の遠隔操作が欠かせない。高精細な映像を活用することにより、遠隔操作の作業効率を高められる。

 同日、大林組の東京機械工場(埼玉県越谷市)で報道陣に実証実験を公開した。

 実験では建機に高精細な4Kカメラ2台や全天球カメラなどを設置。複数のカメラの映像を70メートル離れた遠隔操作室に5Gで伝送し、遠隔操作室に設置した裸眼でも映像が立体的に見える4K対応の3次元(3D)モニターに映し出した。従来のシステムに比べて奥行きを正確に捉える環境を整え、作業効率を15%以上改善した。

 遠隔操作はカメラ映像を頼みに作業を行うため、搭乗操作に比べて作業効率は60%程度に低下するという。5Gの高速・大容量通信の特徴を活用して高精細映像の伝送などを実現し、作業効率の低下を抑制できる。

 大林組技術本部技術研究所の古屋弘上級主席技師は「従来の遠隔操作では自前の無線LANシステムを構築していたため、操作室は現場から2キロメートル以内に設置する必要があった。(5Gの活用により)全国の災害復旧現場を常設の操作室で制御できるようになる」と期待した。
日刊工業新聞2018年2月16日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
画像や伝達の質向上も重要ですが、作業者が遠隔で操作することに熟練することも必要になってきそうです。

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