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人手不足が派遣業を直撃、倒産12%増

2017年1―6月、零細企業が7割超える
 帝国データバンクは2017年上期(1―6月)の労働者派遣業の倒産件数が前年同期比12・1%増の37件だったとする調査結果をまとめた。

 年ベースでは2014年をピークに減少していたが、17年は増加に転じる可能性が高いと指摘。人材不足により各業態で正社員登用が増える中、派遣業態での応募人員の不足、派遣業者自体の人手不足が影響したとみられる。

 上期の負債総額も同30・3%増の37億8300万円だった。

 負債規模別では、5000万円未満の零細倒産が26件と、全体の70・3%を占めた。零細倒産が70%超となったのは08年以降で初めて。

 通年でも零細倒産の件数が過去10年で最多となる見込み。売り手市場が加速する中、派遣スタッフの確保などで大手・中堅業者と零細業者の格差が拡大している可能性があるという。

 上期の労働者派遣業の景況感を示す景気DIは54・7。50より高いと良いため、景気は良いとみられるが、前年同期比0・4ポイント減と低下傾向にある。

 50より大きいほど不足を表す雇用過不足DIは、労働者派遣業の正社員で62・1、非正社員で65・4と人手不足の傾向が顕著になったことがうかがえる。派遣スタッフの不足だけでなく、派遣業者自体の人手不足問題も深刻化している。
                
日刊工業新聞2017年8月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
関連リンクにあるキャスターの中川さんがいうように、労働集約型の働き方は早晩限界を迎えるだろう。そして既存の人材派遣会社は大手・中小問わず(クラウドソーシングも)、今の労働市場のニーズに応え切れていない。労働集約はもともと膨大なエネルギー量が出せる場所にみんなを集めることで仕事ができるのが起点だった。その必然性が薄れ、人手不足も深刻になり、オフラインからオンライン(リモートワーク)への移行も始まっている。オンラインでの仕事が多くなれば、逆にオフラインで会う時間を有効活用しようと考える(会議の濃密さとか)。今まさに労働市場の大きな転換点。

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