量から質へ動き出す!「中国製造2025」で掲げる10の成長分野とは?
IT、発電、新素材、工作機械、ロボ・・方向性は極めて野心的
2001年の世界貿易機関(WTO)加盟後、中国の輸入製品は世界で存在感を高めている。日本も例外ではなく、輸入に占める中国のシェアは2割強を維持しており、第2位の米国(シェア1割弱)を大きく引き離している。
中国からの輸入製品は、二つの特徴がみられる。第1に、高付加価値商品にシフトしていることである。かつての中国製品といえば、魚介類、野菜、石炭などの資源関連、糸・織物・衣料の繊維関連などが高いシェアを占めていた。これに代わり、今日では機械機器が対中輸入の半分にまで達している。中国を最終工程とする携帯電話や半導体などの電子部品が急増しているためである。
第2に、中国製品への依存度が高まっていることである。輸入の中で、中国のシェアが半分を超える品目は、かつて糸・織物・衣料、重電機器などにとどまっていた。しかし、今では、これに加え、電算機類、同部品、音響映像機器、通信機、金属製品、家具、バッグ類など、機械や日用品に至る広い範囲にまで及んでいる。個別にみれば、中国製品が日本へ及ぼす影響は格段に高まっている。
このように、日本市場において中国は高い競争力を有しているが、こうした優位性を、今後、中長期にわたって維持することは容易なことではなかろう。実現には、製造業の構造改革が不可欠である。
3月、国務院は「中国製造2025」を公表した。中身を見ると、その方向性は極めて野心的である。2050年頃までに「製造強国」の先頭につくことを最終目標とし、まずは25年までにその足がかりを築くことを目指している。重点産業として、次世代情報技術、発電施設、新素材、工作機械、ロボットなど10分野を挙げている。
日本企業としては、コア部品の供給やシステム化、スマート化といったソフト面での協力など総合的なソリューションを提供し、新たなビジネスチャンスに転換できるかどうかが問われている。両国の協業を通じたウィン・ウィンの関係を構築する取り組みこそが、日中の経済関係をより強固なものにすると考える。
(文=丸紅経済研究所所長・美甘哲秀氏)
中国からの輸入製品は、二つの特徴がみられる。第1に、高付加価値商品にシフトしていることである。かつての中国製品といえば、魚介類、野菜、石炭などの資源関連、糸・織物・衣料の繊維関連などが高いシェアを占めていた。これに代わり、今日では機械機器が対中輸入の半分にまで達している。中国を最終工程とする携帯電話や半導体などの電子部品が急増しているためである。
第2に、中国製品への依存度が高まっていることである。輸入の中で、中国のシェアが半分を超える品目は、かつて糸・織物・衣料、重電機器などにとどまっていた。しかし、今では、これに加え、電算機類、同部品、音響映像機器、通信機、金属製品、家具、バッグ類など、機械や日用品に至る広い範囲にまで及んでいる。個別にみれば、中国製品が日本へ及ぼす影響は格段に高まっている。
このように、日本市場において中国は高い競争力を有しているが、こうした優位性を、今後、中長期にわたって維持することは容易なことではなかろう。実現には、製造業の構造改革が不可欠である。
3月、国務院は「中国製造2025」を公表した。中身を見ると、その方向性は極めて野心的である。2050年頃までに「製造強国」の先頭につくことを最終目標とし、まずは25年までにその足がかりを築くことを目指している。重点産業として、次世代情報技術、発電施設、新素材、工作機械、ロボットなど10分野を挙げている。
日本企業としては、コア部品の供給やシステム化、スマート化といったソフト面での協力など総合的なソリューションを提供し、新たなビジネスチャンスに転換できるかどうかが問われている。両国の協業を通じたウィン・ウィンの関係を構築する取り組みこそが、日中の経済関係をより強固なものにすると考える。
(文=丸紅経済研究所所長・美甘哲秀氏)
日刊工業新聞2015年06月11日 2面