鉄鋼各社が熱視線!いま一番進出したい国はあの国

メキシコ進出続々―北中米で車向け事業拡大

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米国はメキシコと地理的に近く、物流も活発化している(メキシコから米国に出荷されるマツダ車=同社提供)
 北中米の自動車産業が順調に成長する中、国内の鉄鋼関連企業も事業拡大への動きを強めている。日系自動車メーカーが集積するメキシコに相次いで拠点を開設し、国内でも北中米向けを中心に自動車関連の工場が活況を呈している。中国や東南アジア市場で以前ほどの勢いがなくなってきたこともあり、相対的に北中米の重要度が高まりつつある。

 神鋼商事は2015年度の設備投資を前年度比4・2倍の46億円に増やし、その大半の31億円をメキシコの新工場に充てる。グアナファト州で建設中の新工場は自動車用ファスナーなどに使われる冷間圧造用鋼線を生産する。年末にも完成する計画だ。加えて米国で線材を生産する子会社、グランド・ブランク・プロセッシング(GBP、ミシガン州)の増強にも6億円を投資する。GBPも自動車向けが好調でほぼフル生産中。メキシコの工場完成後はGBPにも余力が出てくることから、さらなる増強も視野に入れる。

 ネツレンは16年3月にメキシコのアグアスカリエンテス州で新工場を稼働させる。今期の投資額は5億―6億円程度。主に自動車の足回り部品の熱処理を受託加工する。同時に電磁誘導加熱設備の販売とメンテナンスも行い、「来年度から業績に貢献してくる」(溝口茂社長)見通し。さらに、第2ステップとして部品の機械加工から熱処理までを一貫して請け負う事業も始める。

 日鉄住金物産は15年度からの3カ年中期経営計画で「約13%の世界シェアを持つ自動車用ヘッドレスト部品の拡販を図る」(玉川明夫副社長)方針を掲げ、17年度にシェアを15%に引き上げる。特にメキシコでは、アグアスカリエンテス州にヘッドレストと自動車用鋳鉄品のグループ工場を持ち、有望市場の一つに位置付ける。鉄鋼事業でも「コイルセンターがメキシコやインドネシアで立ち上がっており、これらが貢献してくれば目標を達成できる」(同)と期待する。

 国内工場も活況だ。日本金属は「欧米メーカーが中国で生産する車の米国向け輸出を再開してきた。米国車は窓枠のモールにステンレスを使う」(下川康志常務)こともあり、ステンレス鋼帯の輸出が急増。さらに、自動車駆動部品用高精度異形鋼の生産が3月からフル稼働中。現在、福島工場(福島県白河市)を拡張中で「来年には1・5倍、数年内にはユーザーの計画にもよるが、3倍にする」(同)方針だ。

 日立金属も国内の自動車向け製品が「磁石製品で調整はあったが、それ以外は総じて堅調。特に北米向けが良く、他のマイナス要素をカバーしている」(高橋秀明社長)とし、15年度も過去最高業績の更新を見込む。

日刊工業新聞2015年06月08日 素材・ヘルスケア・環境面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

 米国は世界2位の自動車市場であり、原油安を追い風に自動車販売も“快走”が続く。メキシコはその米国と地理的なロケーションが近いことはもちろん、米国への輸出拠点として税制上の優遇措置を活用できるのも魅力。中国やアジアなど景気減速が目立つ中で、日本企業の進出先としての魅力がよりいっそう際立っているようだ。

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