IoTのビッグプロジェクトに参加しよう!英国が繰り出す絶妙な企業誘致トーク

全土の大学と連携、ビッグデータを集め体系化。日立もヘルスケア拠点設ける

 英国貿易投資総省は日本企業に、ビッグデータ(大量データ)を活用したビジネスで対英進出を促す。ビッグデータの世界的な専門拠点で研究開発を支援するほか都市交通、医療機器、家電など情報通信技術(ICT)の応用分野へも導く。6月上旬には大阪を皮切りに東京、福岡、札幌で関連セミナーも開いた。日本企業の資金や技術も積極的に呼び込み、2017年までにビッグデータ関連市場で英に41兆円の利益と5万8000人の雇用創出を目指す。

 英は未来都市とインフラ、家電などにセンサーとネットワークを組み合わせるモノのインターネット(IoT)の研究に約350億円投じ、ビッグデータのビジネスで世界に先駆ける政策を推し進めている。外資も積極的に巻き込み市場を創る戦略で、防災や農業、医療などに導入機運が高まる日本も有力なパートナーとみている。

 ICTを強みとするグローバル企業ではビッグデータの活用を目的に、中国のファーウェイ、英のリード・エルゼビアが英拠点を開設し、日立製作所もマンチェスター大学にヘルスケアの研究開発拠点を設けた。

 日本企業の誘致に向けた目玉の一つは、英全土の大学と連携しビッグデータを集め体系化、分析する専門拠点のロンドン・チューリング研究所。生命工学、情報セキュリティーの関連分野にも投資し、研究開発や事業テーマ設定をサポートする。貿易投資総省のクリス・ムーア博士は「世界のビッグデータ市場は15年に500億ドルに達する」と予測する。英の研究機関や企業と日本の連携を促進し、大手だけでなく中小やベンチャー企業の参入も募る。

 このほど大阪で開いたセミナーではビッグデータ関連の英ベンチャー、サイトラの共同創業者であるアンドレイ・ザピエウスキ氏が、データ分析で組織の危機管理をサポートするビジネスを披露した。「ケンブリッジ大学が研究パートナーで、出資も得た」と、世界トップクラスの大学と産学連携できる起業支援体制の魅力もアピールした。

日刊工業新聞2015年06月11日 電機・電子部品・情報・通信面

明 豊

明 豊
06月14日
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英国を始め欧州はこういうのが本当に得意だ。特に英国は大学の層の厚さが強み。国や自治体などの行政が保有しているデータを再利用しやすい形で公開していく「ガバメント2.0」に、さらにIoTをキーワードに新しい社会を作る“ガバメント3.0”とでも呼べるのではないか。日本も大学改革を含め乗り遅れてはいけない。

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