パリショー直前!次期MRJ「新しい機体の開発に取り組む」(三菱航空機社長)

大きさ8メートル強の客室のモックアップの展示や、MRJのコックピットのパネルも用意

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 日本の航空機産業が沸いている。世界的な旅客需要の拡大を背景に、米ボーイングや欧エアバスなどの機体・エンジン製造に参画する日本勢は増産体制の整備を急ピッチで進める。国産小型旅客機「MRJ」は、度重なる遅れを乗り越え、今秋の初飛行に挑む。15日からは世界最大の航空見本市「パリ航空ショー」を控える中、航空・宇宙関連各社のキーパーソンに今後の戦略などを聞く。第1回は、三菱航空機の森本浩通社長。

 ―4月1日に三菱航空機社長に就任しました。
 「これまで三菱重工業で発電プラント事業を歩んできた。航空機との共通点は少ないが、どちらも膨大な部品点数や仕事のプロセスの中で完成する一つのシステム。9―10月の初飛行と2017年第2四半期(4―6月)の初号機納入に向け、特にマネジメントやリスク管理の手法で私の経験が生かせると考えている」

 ―現在の航空市場をどう見ていますか。
 「航空機の世界市場は中長期で安定的な成長が期待され、大量の航空機需要が生まれる。また、現在は原油価格の下落で航空会社の経営状況も改善している。航空会社の購入意欲が高まっているこの時に、MRJを売り込んでいきたい」

 ―営業戦略は。
 「座席数50―100席のリージョナルジェットは今後20年で5000機超の需要がある。MRJではこのうち半分のシェア獲得を目指す。すでに日本を含むアジアと米国では注文を得ており、今後は欧州に(営業人員などの)リソースを重点配備したい。先行するライバルのうち、カナダ・ボンバルディアは100席以上の機体開発にシフトし、ブラジル・エンブラエルも新型機はエンジンを換装するもの。機体とエンジンを一から開発するMRJは、機体全体の性能で勝てると考えている」

 ―中長期で見た経営の展望は。
 「初号機を納入する2017年までは初期の開発費用もあり、経営的には厳しい状況が続く。ただ、その後は徐々に改善を図り、20年度には単年度の黒字化を目指す。現在開発する90席、70席型に続き、100席型の開発も検討を始めており、将来に向けて新しい機体の開発に取り組む」

 ―15日開幕のパリ航空ショーへの意気込みを聞かせて下さい。
 「航空ショーには、大きさ8メートル強の客室のモックアップ(実物大模型)を展示し、客室の快適性などを引き続き訴えかける。また、今回は新たにMRJのコックピットのパネルも用意し、8日に始めた地上走行試験の動画なども放映する。すでに国内外の航空会社を回り、航空会社から具体的な(機材の)更新・導入計画も聞いている。私自身がMRJの良さを声に出し、PRしていく」
 
 【記者の目/初飛行が最重要】
 「言葉よりも行動」。森本社長の言葉が胸に響いた。MRJの開発をきっかけに、世界規模でのサポート体制整備や、複数企業による部品の共同工場などの計画が進められており、日本の航空機産業は大きく変わろうとしている。今後、産業全体の飛躍につなげるためにも、まずは計画通りの初飛行という「行動」が最も重要な課題となる。
(聞き手=杉本要)

日刊工業新聞2015年06月11日 機械・ロボット・航空機面

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明豊
デジタルメディア局
執行役員 DX担当

航空機担当のファシリテーター、杉本記者が現地からパリショーをレポートします。

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