三保松原から米国へ!ヤマハ発が無人ヘリコプターを海外展開へ

米連邦航空局から農薬散布用の認可を獲得。リモコンタイプの「フェーザー」に自律飛行型も

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自立飛行タイプを追加するリモコンタイプの「フェーザー」
 ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプター事業で年内に米国に拠点を設立し、同市場に参入する。2017年をめどに、リモコンタイプの「フェーザー」に自律飛行タイプを追加するほか、同社初となる電動ヘリについても研究開発中。無人ヘリは国内では農業用以外に、火山への地震計設置や放射線量モニターなど用途が拡大している。5年内に現在の2倍となる500機の販売を計画。海外販売の強化により、将来、100億円の売り上げを目指す。
 
 5月に米連邦航空局から農薬散布用飛行ロボット(ドローン)の飛行許可を獲得したのを機に、北米で事業を本格化する。米国では機体販売だけでなく、農薬散布など農作業も請け負うサービスモデルを検討中。このため現地拠点の設立に向けた準備に入った。
 
 カリフォルニア州はワインの産地だが、傾斜地にあるブドウ畑は有人機での農薬散布が難しい。また広大な農地の農薬散布の効率化など、無人機の需要は大きい。北米では18年に10億円の売り上げを見込む。東南アジアや欧州での販売も検討中。
 
 新機種開発も進める。現在、同社の無人ヘリはリモコンタイプの「RMAX」と、高出力で積載量が大きいフェーザー、自律飛行が可能な「RMAX G1」の3機種。17年をめどに、フェーザーの自律飛行タイプを追加する計画だ。
 
 さらに将来の市場投入を視野に、小型電動ヘリを研究開発中だ。従来機種より狭い範囲での農業使用を想定する。エンジンを搭載したヘリは、気圧の関係で高度1500メートル以上を飛ぶのが難しい。このため、電動ヘリの開発で、一層の用途拡大が期待できる。同社は無人ヘリで培った自律航行技術や姿勢制御技術を2輪車やバギー車、ボートなどに応用する研究も進め「陸・海・空」での実用化を目指している。(浜松)

 <関連記事=世界遺産で松くい虫防除>

 世界遺産の三保松原(みほのまつばら)を守れ―。静岡市が26日行った三保松原の松くい虫防除のための薬剤散布で活躍したのは、ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプター「フェーザー」だ。操作距離150メートルの遠隔操作タイプ。「羽衣の松」周辺など約10ヘクタールに薬剤を散布した。

 三保松原では2014年に試験散布し、松枯れ被害が減少するなど効果が確認された。今回の散布は27日早朝と6月中旬にも行う予定。今後は無人ヘリから画像を撮影し、松林の早期診断や予防、治療につなげることも検討している。

 ヤマハ発の無人ヘリは遠隔操作タイプのほか自律航行タイプもある。農薬散布など農業分野で使われてきたが、近年は福島県での空中線量率の調査や鹿児島県・桜島への地震計設置などに用途が広がっている。(浜松)

日刊工業新聞2015年05月27日 機械・ロボット・航空機面/06月08日 1面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

ハード面では専用機であれば作業効率が高いが用途は限定される。どこまで標準機に近づけるか。あとビジネスモデルでいえば、ハードの売り切りだけでなく、いかに付加するサービスに結びつけられるかがカギになりそう。

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