工場から工場へ、熱を運びます。トヨタが排熱輸送を実証中

排熱の活用がエネルギー自給率向上にも

  • 0
  • 0
熱輸送のイメージ
トヨタ自動車はサプライヤーの工場から排熱を回収して運び、自社の元町工場(愛知県豊田市)で使う熱輸送の実証事業を始めた。捨てられている排熱を発電や生産に利用し、燃料使用を減らす。試運転を兼ねた実証で蒸気生成に要するエネルギーを11%低減する効果を確認した。本格実証で課題を洗い出し、将来は複数の工場が熱を融通し合って工業団地全体のエネルギー使用を低減するスマートコミュニティー(次世代社会インフラ)を目指す。1社でのエネルギー削減が手詰まりとなる中、複数の工場の連携が新たな省エネの余地を探しだす突破口となりそうだ。

 今回の実証ではトヨタ元町工場に隣接するスズムラ(愛知県豊田市)と、中央精機(同安城市)の工場排熱を蓄熱材にため、トラックで運ぶ。元町工場では蓄熱材から放出した熱で蒸気を作り、塗装前処理に使う。

 電力需要が増えると蒸気をタービンにも送って発電に利用し、電力購入を抑える。大豊工業にも運び、メッキ槽の加温などに使う。

 熱輸送実現のカギを握るのが蓄熱材。生産設備から発生する300度―400度Cの排熱の回収に適した蓄熱材を開発した。マグネシウム系材料で、化学反応で熱の吸収と放熱を繰り返す。蓄熱材は設置面積1×1メートルの容器につめて運ぶ。容器1台当たり1ギガジュールの熱量の蓄熱を想定。投資回収期間は5年数カ月を見込む。

 排熱を出す企業、排熱を利用する企業を登録し、トラックの運用計画を作成するITシステムも準備した。電力需要を監視するエネルギー管理システムと連携させ、工業団地全体の電力需要を増やさないように排熱を発電に使う。住友ゴムが電力需要計測の実証に参加する。

 工業団地全体に目を向けると熱の利用法や発生量が違う工場があり、マッチングすると新たな削減余地が生まれる。日本が輸入する化石燃料は電力よりも熱として使われる量が多い。大量発生する排熱の活用は国のエネルギー自給率向上と温暖化対策にも貢献できそうだ。


※「スマートコミュニティJapan2015」が6月17日に開幕します(会場=東京ビッグサイト)。

オリジナル

COMMENT

加藤百合子
エムスクエア・ラボ
代表

トップ企業が率先して、全体最適化へ熱エネルギー活用。素晴らしい取組みに感動しました。私が携わる農業でも、電気と熱のコジェネレーションは益々求められていますし、ヨーロッパでは地域全体でエネルギーを最適化するデザインがなされています。今回のトヨタのコンセプトが国内各地へと大小にかかわらず広がればと思います。

関連する記事はこちら

特集