下町ボブスレー、勝負の夏
18年平昌五輪見据え、「10号機」作成へ
決戦の夏へ-。東京都大田区の町工場を中心に、冬季五輪種目ボブスレーのソリを製作している下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会は、協力企業向けの「製作説明会」を開いた。各部品の図面を参加企業に公開。各社が加工可能な部品の図面を持ち帰り、実際に加工する。今回製作する「10号機」は2018年の平昌(ピョンチャン)五輪でジャマイカチームが使用する可能性があり、五輪出場を明確に見据えている。戦いの夏が始まろうとしている。
「ボブスレーのソリを作ることで未来に羽ばたく素材、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と金属の融合を学んだ。大田区として未来に対応していける」。プロジェクトの創始者であり、現ゼネラルマネージャーの細貝淳一マテリアル社長の描く未来は明るい。
今年製作する10号機には、同委員会のソリを公式に採用しているジャマイカチームからの意見をふんだんに盛り込んだ。軽量化されており、ボディーは世界最小クラス。選手も助走距離を長くとることができる。完成後に選手に継続的に使ってもらい、要望を聞き、改善していく。0・1秒でもタイムを縮めるべく、五輪の当日本番まで作業は続く。
ソリは大田区内の町工場を中心とする中小企業約80社が材料や加工を無償で提供して製作している。参加企業の中には“脱・下請け”をもくろむ町工場も多い。高い技術のほか、「設計、開発力」「対応力」「提案力」も世界にアピールしたい考え。
現委員長の國廣愛彦フルハートジャパン社長は「ボブスレー製造を通じてできたものは、他のモノにも生かせる。次のプロジェクトや仕事につなげていければ」と希望を抱く。
また、秘密保持が原則の下請け企業は、作っているモノを公開できない。ボブスレーの部品であれば公開が許されるため、PRツールにできる。製造を取り仕切る副委員長の西村修エース社長は「今夏に作るのは、おそらく最後のソリになるだろう。悔いのないよう、各社一つでも多くの部品製造を担当して関わってほしい。そしてPRツールにしてほしい」と笑顔をみせる。
参加企業の中には、ソリの部品加工を若手社員に任せて技術向上に役立てている企業も多い。社員の士気を高めるのにも一役も買っており、参加の効果は大きいという。
今や150社以上が協力する同プロジェクトでは、各社が着実に技術力を高めてきている。対戦相手である海外のボブスレーチームが使うのは独BMWや伊フェラーリ製のソリ。“打倒、大手名門自動車メーカー”という大きな夢が広がっている。
(文=門脇花梨)
「ボブスレーのソリを作ることで未来に羽ばたく素材、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と金属の融合を学んだ。大田区として未来に対応していける」。プロジェクトの創始者であり、現ゼネラルマネージャーの細貝淳一マテリアル社長の描く未来は明るい。
今年製作する10号機には、同委員会のソリを公式に採用しているジャマイカチームからの意見をふんだんに盛り込んだ。軽量化されており、ボディーは世界最小クラス。選手も助走距離を長くとることができる。完成後に選手に継続的に使ってもらい、要望を聞き、改善していく。0・1秒でもタイムを縮めるべく、五輪の当日本番まで作業は続く。
ソリは大田区内の町工場を中心とする中小企業約80社が材料や加工を無償で提供して製作している。参加企業の中には“脱・下請け”をもくろむ町工場も多い。高い技術のほか、「設計、開発力」「対応力」「提案力」も世界にアピールしたい考え。
現委員長の國廣愛彦フルハートジャパン社長は「ボブスレー製造を通じてできたものは、他のモノにも生かせる。次のプロジェクトや仕事につなげていければ」と希望を抱く。
また、秘密保持が原則の下請け企業は、作っているモノを公開できない。ボブスレーの部品であれば公開が許されるため、PRツールにできる。製造を取り仕切る副委員長の西村修エース社長は「今夏に作るのは、おそらく最後のソリになるだろう。悔いのないよう、各社一つでも多くの部品製造を担当して関わってほしい。そしてPRツールにしてほしい」と笑顔をみせる。
参加企業の中には、ソリの部品加工を若手社員に任せて技術向上に役立てている企業も多い。社員の士気を高めるのにも一役も買っており、参加の効果は大きいという。
今や150社以上が協力する同プロジェクトでは、各社が着実に技術力を高めてきている。対戦相手である海外のボブスレーチームが使うのは独BMWや伊フェラーリ製のソリ。“打倒、大手名門自動車メーカー”という大きな夢が広がっている。
(文=門脇花梨)
日刊工業新聞2017年6月15日