元商社マンに託されたVAIOの未来!出口戦略へのシフトか?

元双日常務も社長に招聘。経営権握る投資ファンドの意向は・・

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昨年7月の設立会見に挑む関取前社長(現副会長)
 VAIO(バイオ、長野県安曇野市)は8日、元双日常務執行役員の大田義実氏(62)を社長に招聘(しょうへい)し同日付で就任したと発表した。製品の品ぞろえが整ったことから、営業経験が豊富な大田氏をトップに据え、販売を強化する。VAIOの初代社長として会社を立ち上げた関取高行氏(54)は取締役副会長として営業を支援する。

 VAIOは2014年にソニーから分離し、投資ファンドのもとで再スタートを切った。大田氏は双日で機械・金属部門やリテール部門のトップを歴任し、中国総代表を務めた。「製品がそろったことから(営業)現場に強い大田氏を招聘した」(同社)という。関取氏はソニー時代からバイオ事業に関与。VAIOでは高機能パソコンやスマートフォンを発売し業容を広げた。
 
 (新社長プロフィール)
 大田 義実氏(おおた・よしみ)1976年一橋大商卒、同年ニチメン(現双日)入社。2002年経営企画部長。04年双日常務執行役員。10年サンテレホン社長。14年ミヤコ化学社長。東京都出身。 

 
 <関連記事=昨年7月1日の設立会見。関取社長は「規模が小さいからこそ、今までの思いこみやしがらみにとらわれない思い切ったことができ」と宣言したが・・>

 ソニーがパソコン事業を分離して発足した新会社「バイオ」が1日、設立会見を開いた。関取高行社長(写真)は「パソコンの本質を追究して、顧客に刺さるとがった商品を提供する」と強調。徹底的に選択と集中を進めて、2015年度の黒字化を目指すとした。

 バイオは本社をソニー時代の製造拠点である長野県安曇野市に置き、240人で始動する。本社に加えて東京に営業拠点を置き、製造担当者も参加したマーケティングを進める。生産はODMを活用するが、最終製品は安曇野工場で検査する「安曇野フィニッシュ」(関取社長)の体制を整える。当面はソニー時代から人気の「バイオプロ11/13」と「バイオフィット15E」の3製品を軸にビジネスを構築。14年度末には新製品の投入も視野に入れる。販売は当面、国内に注力する。

 個人向けはソニーマーケティングを総代理店とし、法人向けは大塚商会など大手代理店4社を中心に注力する。15年度の販売目標は30万―35万台で実質、ベンチャー企業の規模として再スタート。関取社長は「調達などが課題だが、規模が小さいからこそ、今までの思いこみやしがらみにとらわれない思い切ったことができる」とした。

 新会社「バイオ」は今後、どのような道を進むのだろうか。パソコン事業の成長性を考えると、株式を公開し独立会社になるのは考えにくい。他社との提携や統合が現実的だが、経営権を握る投資ファンド、日本産業パートナーズの意向は現時点で見えにくい。

 同ファンドはみずほ銀行の別動隊ともいわれ、「ソニー本体に融資額を増やしたいみずほ側が、ファンドを使って事業売却に協力した」(独立系ファンド)という指摘もあるほど。新会社の出口戦略に関して、ソニーの意向が少なからず反映されるだろう。

 パソコンの世界市場規模は2013年が3億台強。少なくとも18年までは減少が続く。しかし企業向けの販売比率の多いパナソニックは「これほど需要予測がしやすいデジタル商品はない。収益も出ている」(幹部)という。ソニーの失敗は一般消費者向けへの依存が高すぎたことにあった。
 
 バイオがどの立ち位置を目指すのかをはっきりさせなければいけない。事業規模が一気に縮小しビジネスモデルも大きく変わる。海外市場の本格展開に踏み出す時が提携のタイミングだろう。依然、「VAIO」にはブランド力があり、中国メーカーや新興ネット企業などには魅力的なはず。
 
 ソニーが買い戻したいと思うぐらいの会社になれば大成功だが、ソニー時代と経営幹部は同じ顔ぶれで、どこまで変革できるか疑問符が付く。

日刊工業新聞社2014年07月02日/2015年06月09日3面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

大田氏の招聘理由に「営業経験が豊富」とあるが、額面通りに受け取れない。ソニーのVAIO事業はつくづくもったいないことをした。VAIO人気が絶頂なころ、まだアイフォーン発売前のジョブズはVAIOのデザイン性などに関心をを持っていた。ソニーの中にセクショナリズムがなければ、VAIO部隊から今のMacやアイフォーンのような製品が展開できた可能性があったのに。

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