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業界再編への号砲か。日立造船と日本橋梁の中堅鋼橋メーカー提携

新設需要「頭打ち」、約40社が競合し価格競争厳しく
 日立造船と日本橋梁(大阪市西区)は、鋼橋の製造で業務提携する。2017年度中にも日立造船の生産拠点である向島工場(広島県尾道市)を両社で共同利用する。日本橋梁は製造部門を播磨工場(兵庫県播磨町)から向島工場に移管する。国内の鋼橋新設需要は頭打ちだが、40社ほどが競合しており、価格競争が激しい。業界中堅の2社の提携によって、生き残りをかけた合従連衡が活発化しそうだ。

 日立造船と日本橋梁は当面、資本関係は結ばず、製造面で提携し、固定費の圧縮や工場の稼働率向上を狙う。製造部門の負担を軽減し、需要が見込める海外案件や修繕事業に軸足を置く。資本関係を伴わない工場の共同利用は珍しい。

 日立造船の向島工場は鋼構造物や橋梁を主力品目とする。同様に鋼橋を製造する日本橋梁と同工場を共同で使う。日本橋梁の播磨工場は同社唯一の工場。活用方法を含め今後詰める。生産設備の共用に加え資材調達の連携なども視野に入れる。

 日立造船の橋梁や水門などで構成するインフラ部門の17年3月期の売上高は約300億円。17年度にスタートした新中期経営計画において、海外展開やアフターサービス拡大で橋梁事業の収益を高める方針を掲げた。目標達成には生産面の収益改善が不可欠となる。新設需要が先細るなか、同業他社との連携で生産性を高める。

 日本橋梁はOSJBホールディングスの鋼橋部門を担う事業会社。16年3月期の売上高は66億円。同社は新設案件への売り上げ依存度を減らし、メンテナンスや修繕に注力する。事業セグメントの多様化に活路を求める方針だ。
                    

日刊工業新聞2017年5月17日
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
15年度の鋼橋全体の受注量は23万4830トンで、ピーク時の95年に比べ3分の1程度に縮小している。横河ブリッジホールディングスやIHIなど、上位5社が5割以上のシェアを握っている。

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