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人型ロボット、8つのタスクに挑む!米国災害対応ロボット競技会 開幕直前レポート

どうなる日本チーム?最終調整進む
人型ロボット、8つのタスクに挑む!米国災害対応ロボット競技会 開幕直前レポート

NEDO-JSKチームのテスト

 米国防総省高等研究計画局(DARPA)の原発・災害対応ロボット競技会「DARPAロボティクスチャレンジ ファイナル2015」(DRC Finals)が5日(日本時間6日)、米国・ポモナで開幕する。4日、開催に先立ってメディア説明会が行われた。

 「これからのロボットに求められる性能は、人間と同じ環境で作業できること、人間の道具を使えること、人間と協調できることだ」
プログラムマネージャーのGill Pratt氏はメディア説明会の冒頭でこう話した。DRCの競技内容はこの条件を満たすロボットを求めていることの表れである。

 ロボットに課せられたタスクは全部で8つ。
 ①車の運転
 ②降車
 ③ドアを開ける
 ④バルブを開ける
 ⑤壁をドリルで壊す
 ⑥サプライズ(当日まで非公表)
 ⑦がれきの道を歩く
 ⑧階段を昇る
 このタスクが連続したコースを60分間でクリアする。競技日は2日間で、2日とも同じコースをこなし、高い方の得点が最終得点。同点の場合はクリアにかかった時間が少ない方が有利となる。
「2011年の福島第一原発の事故をうけて、将来、災害に対応する際にロボットが人間にとって有能なアシストになるだろうと予想しDRCを始動した」とGill氏が話す通り、具体的に災害時を想定したタスクとなっている。

 出場チームは4日に実際のコースでテストを行った。会場を訪れた時にはちょうど新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京大学の連名チーム「NEDO-JSK」、ネバダ大学のチーム「DRC-Hubo@UNLV」がテストを行っているところだった。

 二足歩行をするNEDO-JSKチームに対し、DRC-Hubo@UNLVは足が折り畳まれ、膝部分についたホイールで走行。タスクによっては足を伸ばし二足になるようだ。DRC-Hubo@UNLVチームの使用するロボットは韓国科学技術院とネバダ大学が共同開発したプラットフォームロボット「Hubo」。
 「同じHuboを使った韓国科学技術院のチーム「KAIST」はテストで8つのタスクをすべてこなし、タイムも速かった。DRCの競技内容に合わせて開発してきただけあるだろう」とNEDO関係者は話す。
 
 対するNEDO-JSKが使用する「JAXON」も、スムーズな二足歩行でタスクをこなしていた。「日本のロボットは対競技だけではなく、さまざまな状況に対応できるような汎用性を目指して開発してきた」(NEDO関係者)。
 変化する状況への対応力が求められる「サプライズ」タスクで成果を発揮できるか注目される。

 競技は5日午前8時(現地時間)より開始する。大会期間中はDRCのウェブサイトで結果がリアルタイム更新される予定。
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
チームが控えるガレージではロボットの最終調整が行われ、緊張し興奮した面持ちの参加者の熱気に満ちていました。メディアも全世界から多数集結。これに加え、明日からは全世界からロボット好きが集まり、エキサイティングな2日間になりそうです。

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