GEが先行、「産業用インターネット」は顧客との新しい関係を築けるか!?

連載バックナンバー「つながる工場(4)」July.2014

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顧客と価値をシェアする動きが顕在化し始めている(ダイハツ「コペン」)
 【無駄を見える化】
 石油化学プラントなどに制御システムを数多く納入している横河電機。子会社に約200人のビッグデータ(大量データ)の分析部隊を抱える。1990年代から操業データを蓄積していたが、顧客向けにサービス化できたのは数年前から。例えば生産品目や規模が近い何十ものプラントを、どの顧客か分からないようにして比較。無駄を「見える化」してコスト低減を提案している。
 
 2011年にサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコと圧縮機の事業で包括契約を結んだ日立製作所。専門の保守サービス会社も立ち上げ、遠隔監視なども視野に入れている。日立が「産業用インターネット」分野でベンチマークするのが米ゼネラル・エレクトリック(GE)。
 
 GEは「リアルタイム・オペレーショナル・インテリジェンス」(RtOI)という新しいデータ活用のコンセプトを掲げ、発電設備や医療機器などの領域で先行実利をあげている。日立も全売上高に占めるサービス事業の比率向上を目指しているが、東原敏昭社長は「もう一度、強いプロダクト(製品)に立ち返りたい」と話す。
 
 日立は圧縮機のほかにも顧客の工場とつながるポンプやインバーターなど数多くの製品を扱っている。ただ、サービス事業は関連の製品が売れてこそ成り立つ。従来型の保守であれば料金は確立されている。しかし経営課題解決型のソリューションは、提案を始めたばかりであり、結果として生まれた価値や利益を顧客とどのように分け合うかはまだ手探り状態だ。
 
 ダイハツ工業が6月に発売した新型軽自動車「コペン」。今年初めに樹脂外板関連の設計データを公開し、アフターパーツメーカーだけでなく一般ユーザーが自分の好みに合わせ、スマートフォンのカバーケースを選ぶように樹脂外板を着せ替えできるようにした。
 
 【フラットな立場】
 ソフトウエアの世界ではデザイナーやエンジニアがオープンに協力し、アイデアを形にしていく「ハッカソン」が一般的になりつつある。その製造業版の「メイカソン」のイベントをしかけているのが情報科学芸術大学院大学(岐阜県大垣市)の小林茂教授。「今まで圧倒的な力の差があった大企業と個人がフラットな立場で渡り合えるようになる」という。ドイツが推進する「インダストリー4・0(第4次製造業革命)」の大きなキーワードの一つが、オープンイノベーションであることは間違いない。

 サービス・人材、プロダクトなど有形無形のものを共有し、利用者が必要な時に利用してもらう「シェアリングエコノミー(共有型経済)」。スマホのアプリを利用したハイヤー配車サービスを提供する米ウーバーなどを代表格にシリコンバレーから世界中に広がりを見せ始めている。製造業でもシェア(共有)の文化が入り込むのにそう時間はかからないだろう。

 【情報武装宣言】
 15日に都内で開催されたソフトバンクのイベントには産業用インターネットで提携関係にあるGEのジェフ・イメルト会長もビデオで登場。孫正義社長はパーソナルロボットと情報武装によって日本の生産性を向上させると宣言した。既存メーカーは従来型の自社製品・サービスだけで事業を拡大できるのか。新しい経営の座標軸を生み出す必要がある。

日刊工業新聞2014年07月17日 1面

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明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

製造業のサービス業化、小売業のメーカー化、境界線はどんどん低くなっている。ITが日常のプラットフォームになることで、事業スピードが競争力を左右する最重要のポイントになる。

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