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ガス発生剤の硝酸アンモニウムの使用量減少へ、タカタがリコール対応急ぐ

顧客の要望で硝酸グアニジンを採用したインフレーターも自社生産
 タカタは米国に供給するエアバッグの交換部品について、ガス発生剤として硝酸アンモニウムを採用するインフレーターの使用量を減らしていく意向を示した。ガス発生剤に硝酸グアニジンを採用する他社製インフレーターの導入を既に進めており、2015年末までに交換部品に占める他社製の割合が約7割に広がる見込みだ。一方、新車向けエアバッグのインフレーターには引き続き硝酸アンモニウムを使用。数年前から顧客の要望に応じ硝酸グアニジンを採用したインフレーターを自社生産していることも明らかにした。

 タカタ北米子会社のケビン・ケネディ上級副社長は2日、米下院の公聴会で硝酸アンモニウムが「不具合の一つの要因」との認識を示した。一方、製造品質などが管理された硝酸アンモニウムについては「危険性はないと信じている」とし、引き続き使用する意向も明らかにした。

 同社は原因究明を依頼する研究機関の調査結果などから、インフレーターが長期間高温多湿の環境下にさらされ、製造上の精度のバラつきなどの要因が複合的に重なり合う場合、一部で規格外の内圧を受けて破損する可能性があるとしている。

 タカタは5月19日、リコール対象を全米に拡大することで米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)と合意。リコール対象はインフレーター換算で従来の約2倍の3400万個に広がる見込みだ。同社は交換部品の生産能力について14年12月の月35万個から、9月までに月100万個に引き上げる方針も示した。しかし米国ではリコールが急拡大する見込みで、交換部品に占める他社製インフレーターの比率を5月の約5割から、15年末までに約7割まで引き上げ、対応を急ぐ。

 タカタは16年3月期も堅調な受注を見込み、硝酸アンモニウムを採用したエアバッグの増産を計画する。硝酸グアニジンを採用するエアバッグは顧客の要望に応じて生産しており、「全体の約1割にも満たない」(同社広報)という。
日刊工業新聞2015年06月04日 自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
これをきっかけに逆に技術のイノベーションを生む出す力に変えてほしい。

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