三井住友銀行は法人向けインターネットバンキングでスマートフォンを使って振り込みを承認するサービスを２０１７年度に始める。法人向けインターネットバンキングでは邦銀で初めて。パスワードを入力したり専用の機器を持ち運んだりせずに、手持ちのスマートフォンを使うことで利便性とセキュリティーの向上を実現する。中堅中小企業の利用を想定しており、２万社程度の利用を見込む。中長期的には個人向けサービスへの横展開も見据える。

　インターネットバンキングの各種サービスの利用可否をスマートフォンの画面でオンとオフのスライド操作で設定できる「ワンフリック認証」と呼ばれるサービスを導入する。マレーシアのベンチャー企業の認証技術をもとに日本総合研究所とＮＥＣと共同開発した。
　
　利用を希望する企業は無料で使える。まず、今春に、専用のアプリケーションをダウンロードしたスマートフォンからパソコンの振り込み承認操作をオフに設定することで、フィッシングや乗っ取りによる不正取引を防げる仕組みを提供する。
　
　１７年度内に、パソコンによる振り込みの最終承認の際、利用者のスマートフォンに実際の送金先の情報を送り、承認の手続きをできるようにする。
　
　法人のインターネットバンキングの不正送金被害は、使い捨ての「ワンタイムパスワード」の導入が進み、減少傾向にある。ただ、小型のパスワード生成機が必要で、持ち運びやパスワード入力などの手間が課題だった。人員が限られる中堅中小企業からは利便性の向上を求める声があった。
　
　三井住友銀の法人向けインターネットバンキングの利用企業数は約２０万社。中堅中小企業が６割を占める。