新型SUV「XV」はスバルらしい電気自動車につながるか

「ここ半年ずっとトライアンドエラー、答えをだすのは簡単ではない」

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今春投入する新型SUV「スバルXV」
 「環境規制に対応するため電気自動車(EV)の投入を決心した」。富士重工業社長の吉永泰之は2016年5月の決算会見で、21年にEVを発売すると発表した。富士重は過去に軽自動車をベースにしたEVを投入したが、軽生産からの撤退を機に約2年で販売を終了していた。

 EV再参入の引き金になったのは主戦場の米国をはじめとする各国の環境規制強化。特に米カリフォルニア州が主導するゼロエミッション車(ZEV)規制は、販売台数の一定比率を排ガスを出さないZEVにしなければならない。富士重は当面の主力はあくまでガソリン車と位置づけるが、18年に投入するプラグインハイブリッド車(PHV)に加え、EVの投入が必要な段階にきていた。

 「都市間を移動する小型EVではなく、スポーツ多目的車(SUV)『スバルXV』のEV版を作るイメージ。スバル車への期待を裏切らないEVにする」。吉永は富士重がつくるEVの方向性をこう示す。環境性能に加え走行性能を意識したEVだ。

 スバル車はこれまで重心が低く走行安定性に優れる水平対向エンジンや4輪駆動(4WD)技術を採用。スバルのブランドコンセプトである“安心と愉(たの)しさ”を実現してきた。

 一方、EVはモーター駆動である上、4WDは駆動に必要な電力消費量が多くEVの競争軸の一つである航続距離を伸ばしにくい。

 「スバルらしさをEVにどう落とし込むか。ここ半年ずっとトライアンドエラーをやっている。答えをだすのは簡単ではない」(取締役専務執行役員の武藤直人)。EV開発のプロジェクトチームは試行錯誤を続けている。

 EVをめぐっては米テスラがSUVタイプの高級EVを開発し「新しい価値を創造した」(武藤)。独フォルクスワーゲンもEV開発を強化し、トヨタ自動車やホンダ、マツダもEV開発を表明。本格的なEV競争時代に入る中、富士重はEVでも際立つことができるのか。真価が問われている。
(敬称略)

日刊工業新聞2017年3月20日

COMMENT

後藤信之
編集局ニュースセンター
副部長

富士重は13年6月に初めてハイブリッド車を発売した。SUV「XV」のモデルの一つという位置付けで、「Fun to Driveを実感できるハイブリッド」と謳っている。モーターをエンジン出力のアシストとして効果的に用いることで、加速感のある愉しい走りを実現したと説明している。EVでも走りの良さと高燃費性能の両立という基本方針は変わらない。ちなみに発売当時の「XVハイブリッド」の燃費はリッター20.0キロメートル(JC08モード)だった。

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