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「スバル車」組み立てラインを主要サプライヤーと同期。中間在庫削減へ

しげる工業、東亜工業、坂本工業の3社と新しい生産方式を構築
「スバル車」組み立てラインを主要サプライヤーと同期。中間在庫削減へ

群馬製作所(群馬県太田市)の車両組み立てライン

 富士重工業は2020年までに、自動車の組み立てラインと主要サプライヤーの生産ラインを同期させるリーンな生産体制を構築する。組み立て車種順に部品を調達し、中間在庫を減らす。群馬製作所(群馬県太田市)近郊の主要部品メーカー3社と連携し、まずシートなど15部品を対象に構築。20年以降に他の部品メーカーにも広げる。年販100万台超体制で持続的に成長するため、生産体制を刷新する。

 新たに構築する生産方式「生順生産」は、富士重工業の組み立てラインの車種情報をサプライヤーと共有。サプライヤーはこの情報に沿って、部品を富士重に供給する。これまで富士重はサプライヤーから一定間隔でまとめて部品調達しており、中間在庫が増える要因となっていた。

 まずシートやドアトリムを生産するしげる工業(群馬県太田市)、ボディー部品を手がける東亜工業(同)、排気系や燃料系部品を生産する坂本工業(同)の3社が協力する。3社ともに群馬製作所の近くに工場があり、富士重との取引関係が深い。

 富士重にとっては、中間在庫が減り、生産効率化が図れる利点がある。生産の順番を崩せないため、組み立てラインで働く社員の品質への意識が高まる効果も期待する。

 サプライヤーは生順生産に対応するために、従来の生産方式を見直す必要がある。このため富士重の専門担当者が部品メーカーに出向き、生産ラインの構築を支援する。
日刊工業新聞2017年3月20日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
3社をモデルに20年以降は他の取引先とも連携し、サプライヤー全体で生順生産を実現できるようにしていく。将来は、米国工場にも導入できるか検討する。富士重は16年度に世界販売が初めて年間100万台を突破する。スバル車の世界生産の約6割を群馬製作所が担っており、フル操業が続いている。一方、増産対応を続けてきた結果、生産や物流などの課題が顕在化していた。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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