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京都企業、強さの証明。大手16社の今期業績はこれだ!

14社が増収計画で成長路線続く。電子部品だけじゃない産業の奥深さ
 京都企業の業績好調が続きそうだ。2015年3月期実績は大手16社のうち13社が増収となったが、16年3月期見通しも14社が増収を計画する。特に前期に売上高1兆円を新たに達成した村田製作所日本電産が引き続き2ケタ成長を見込むように、電子部品メーカーの好調ぶりが際立つ。スマートフォンや自動車向け需要は足元も底堅く、経営環境は総じて堅調に推移している。
 
 16社のうちニチユ三菱フォークリフトと三洋化成工業の2社が減収の見通し。ただニチユ三菱は海外子会社の決算期変更、三洋化成工業は原料となるナフサ価格の下落のためで、実質的には16社すべてが増収計画となる。
 
 その中でも好調な電子部品メーカーの業績をけん引しているのはやはりスマホ。京セラの山口悟郎社長は「引き続き高い伸びを示す」と期待を示し、同社は16年3月期もスマホ向け売上高は前期比30%増を予想する。村田製作所もスマホなど通信向けが前期比18%増となる見通し。スマホの出荷台数以上に、高速無線通信(LTE)への対応など高機能化が部品需要を引っ張っている。
 
 自動車向けも堅調だ。日本電産は自動車向け売上高が14年3月期の1192億円から15年3月期は1970億円へ伸びたが、16年3月期は3000億円をもくろむ。ロームも自動車向けが売上高に占める比率が「毎年1、2%ずつ上がっている」(澤村諭社長)と右肩上がりで、16年3月期は27%を予想する。
 
 機械関連では、オムロンがすべての事業セグメントで増収当期増益を計画。特に主力の制御機器がスマホや自動車向けの販売で好調。中期計画で17年3月期の達成を目指していた売上高9000億円も1年前倒しする。
 
 島津製作所は売上高とすべての利益で過去最高の更新を見込む。特に計測器事業は国内外で販売を伸ばしており、16年3月期に初めて同事業の売上高が2000億円を超える。
 
 日新電機も売上高、全利益で過去最高を予想。配電盤など電力機器が国内外で伸長するほか、中小型フラットパネルディスプレー(FPD)製造用イオン注入装置需要が海外を中心に増加する。SCREENホールディングス(HD)は、「先行きの不透明感は否めない」(近藤洋一常務)としながらも、半導体製造装置の需要が堅調に推移する見通しだ。
 
 そのほかではジーエス・ユアサコーポレーションが、海外の鉛蓄電池事業が好調。13年3月期に1199億円だった同事業の売上高は16年3月期に2180億円を計画。自動車、2輪車向けがともに伸び、わずが3年で1・8倍に拡大する計算だ。三洋化成工業は、主力の高吸水性樹脂(SAP)が好調で、東南アジアで新たな生産拠点を立ち上げる計画だ。
 
 宝ホールディングス(HD)は、スパークリング清酒や缶チューハイの販売が好調。ブランド育成や新ブランド投入などで攻勢をかける。ワコールホールディングスは消費増税の影響で落ち込んだ国内販売が回復すると見ており、外国人旅行客の需要も取り込む。
日刊工業新聞2015年05月26日 列島ネット面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
個人的にはディー・エヌ・エーと提携した任天堂の復活ストーリーに注目。

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