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<社説この一選!5月編>「超人スポーツ」−“人機一体”日本が先陣を切れ

東京五輪に向け、ロボットや計測技術の可能性を広げる産学連携の新組織に期待を込める
<社説この一選!5月編>「超人スポーツ」−“人機一体”日本が先陣を切れ

全長2・8メートルのエンターテインメント用巨大ロボに搭乗するスケルトニクスの白久社長

 ニュースイッチが独断で選ぶ5月の社説この一選は、超人スポーツの意義を説いた内容。明日6月2日には協会が発足します。ちょうど国際サッカー連盟(FIFA)の汚職が発覚し、スポーツイベントに利権が横行していることが改めて露呈しましたが、こちらはとても夢のある話。1月に掲載されたロボットベンチャー、スケルトニクスの取り組みも合わせて掲載します。

 <社説=5月25日付>

 民間主導の産学連携による「超人スポーツ協会」が6月2日に旗揚げされる。ロボットなどの先進技術を活用し、人の能力を拡張してフィールドで競う“人機一体”の新しい「超人スポーツ」を創造するのが目的。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツの可能性を広げる新たな切り口として注目したい。

 「超人」と聞けば特殊な世界にも思えるが、実際は逆。先進技術によって運動能力の格差や年齢、障害などを問わず「誰もが楽しくスポーツをする」こと<を目指している。

 14年10月に、第一線の研究者やデザイナーら40人で構成する超人スポーツ委員会が発足。共同代表として慶応義塾大学大学院の中村伊知哉教授と稲見雅彦教授、東京大学大学院の暦本純一教授の3氏が名を連ねた。「新しい時代に対応した超人近代5種競技などを生み出す」ために、イベントなどを通して賛同者を募っている。

 人機一体の新スポーツでは身体能力を補完するパワードアシストや拡張現実(AR)対応の特殊ゴーグル、飛行ロボット(ドローン)などの利用を想定。変わったところでは、SFマンガやアニメ―ションで広く知られる「攻殻機動隊」の世界観の中で競うスポーツも俎上(そじょう)に載っている。

 先進技術によってハンディキャップの境をなくし、スポーツを楽しむ動きは海外にもある。16年10月には、障害を持つ選手がロボット技術などを用いた高度な補装具を装着して競うスポーツ大会「サイバスロン」がスイスで計画されている。

 ロボット研究者らはこの大会に向け、脳波を解析して電気信号に変換し、ロボットを動かす「ブレイン・パーシブ・コンピューター」と呼ぶ概念の実用化に取り組んでいる。新たに発足する超人スポーツ協会も、ここと連携していく方針を明らかにしている。

 こうしたスポーツの世界で磨いた先進技術は、実社会にフィードバックできる。障害者の補助や介護分野への応用はもとより、身体を駆使する重労働やスポーツ選手の練習のサポートなどにも役立ちそうだ。

 東京五輪推進室の芦田訓室長代理は、超人スポーツ委が4月下旬に開いたイベントで「スポーツ振興にとっては運動嫌いの人にどうやって身体を動かしてもらうかも大きな課題。超人スポーツ協会の方向性とも合致している」と期待を寄せた。

 東京五輪は、日本の技術や文化を世界に発信する機会だ。日本が得意とするロボット技術、計測や微細化の技術を駆使し、世界の耳目を集める「超人スポーツ」の先陣を切りたい。そのためにも、新発足する協会の今後が注目だ。


 <関連記事・スケルトニクス、男子の夢叶える搭乗型巨大ロボ=1月13日付>

 全長2・8メートルの「巨大ロボット」をビジネスにするスケルトニクス(東京都八王子市)は、13年末に立ち上がったロボットベンチャー。同社にとって14年は事業が大きく進展した1年だった。「展示会などで露出が増えたこともあり、レンタルの引き合いが急増した」と、白久レイエス樹社長は笑う。

 同社のロボットは純粋なエンターテインメント用。メーンカメラ部分が点灯し、指先がモーター駆動するが、どれも実用的なモノではなく「ロボットを格好良くみせる」演出に過ぎない。同社の事業はこのロボットのイベントレンタルがメーンだが、最近は「イベントを通じ、消費者のなかにロボットに乗りたいという体験ニーズがあることが分かってきた」と白久社長。

 イベントやロボットの受託開発に加え「搭乗体験」をビジネスにすることも検討する。15年は車などの移動体から搭乗型ロボットに変形する「エグゾネクス」の開発も進める予定。早ければ、15年中にもその姿を明らかにするかもしれない。
日刊工業新聞2015年05月25日 2面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
もちろん人間が肉体の限界に挑戦する姿や闘い美しいが、これからはパラリンピックの技術の進化が人類に貢献し、規模も大きくなるといわれている。東京大会でそれをいろいろな形で世界に発信できればいい。日刊工業新聞、ニュースイッチでは今後も超人スポーツの動向を積極的に報道していきます。

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