サステナビリティ先進企業、IKEAが日本のランドマークにする「仙台店」

太陽光発電を売電から自家消費へ。日本の再生可能エネの課題解決に

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日本の店舗で初めて再生エネで発電した電力を店内で使うイケア仙台
 スウェーデン発祥の世界家具販売チェーン大手のIKEA(イケア)は、再生可能エネルギーの導入を強力に進めている。イケア全体の再生エネの発電量は世界300店舗以上で消費する電力量の40%強に達する。2014年7月開店のイケア仙台(仙台市太白区)は、日本の店舗としては初めて再生エネで発電した電力を店内で使う。再生エネを継続的に有効利用しようと売電ではなく自家消費を選んだ。

 イケア仙台は鮮やかな青い外壁の店舗屋上に太陽光パネルが取り付けられている。太陽光の合計出力は500キロワット。店舗の電力すべてを賄う規模には足りず、電力会社からも電力を購入している。それでも電動フォークリフトの充電は太陽光で賄っているといえる。フォークリフトの稼働は夜間で、昼に充電をしておけば充電なしで稼働できているからだ。停電時は太陽光から必要な設備に電力供給ができる。開店時に仙台市と防災協定を結んだ。

 固定価格買い取り制度を活用すると再生エネで発電した電力は20年、同じ価格で売電できる。自家消費よりも売電の方が投資回収が確実で利益も見込めるため、市場では売電での太陽光の導入が多い。イケアも仙台よりも前に開業した店舗では太陽光パネルが発電した電力を電力会社に売ってきた。

 それが太陽光の実際の発電量を監視しているうちに「発電と店舗の電力需要が増えるタイミングとが重なる傾向があることがわかった」とイケア・ジャパン(千葉県船橋市)の設備担当者の高橋克行氏は振り返る。発電した電力を店舗に直送すれば電力需要を抑えられることから「仙台では自家消費に挑戦することになった」という。

 イケア仙台の開業までに自家消費向きの電力システムも登場。太陽光パネルも自家消費に共感したREC(ノルウェー)から調達し、自家消費が可能となった。

 自家消費にこだわるのは「サステナブル(持続可能)だから」(高橋氏)。固定価格買い取り制度が終了しても再生エネを継続的に利用したいと思い、自家消費を選択した。もちろん再生エネの活用は化石資源への依存度を下げ、持続可能なエネルギー利用に近づく。

 持続可能の視点でコストも見極めた。いくら環境に配慮していても高コストだと他の店舗に普及せず、長続きしないからだ。イケア仙台の自家消費型太陽光発電システムは、売電をしなくても規定内で投資回収ができるコスト基準を満たした。

 イケアは再生エネの導入を世界規模で進めている。順調にいけば20年には再生エネの発電量が全世界の店舗の電力消費量と同じとなり、エネルギーを自給自足できるようになる。

 海外からするとイケア・ジャパンの再生エネへの導入は遅れているという。それでも日本では先進的だ。いま日本では再生エネ発電所からの売電で電力系統に流れ込む電力の増大が懸念されている。系統設備に大きな負担となって将来、増強投資が必要となるためだ。自家消費なら系統への負担を和らげられる。イケア仙台は再生エネ導入に伴う課題の解決策を示してくれそうだ。

日刊工業新聞2015年05月27日 モノづくり面

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明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

本カテゴリーの松木ファシリテーターの記事。IKEAの再生可能エネルギー投資をはじめとするサステナビリティの推進は、ビジネス視点で合理的な判断いう明確な価値観で動いている。日本企業にも刺激になってもらいたい。

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