取引システム市場に風穴。圧倒的コスパでネット証券が相次ぎ外販へ
カブドットコムやマネックスが大手の牙城に切り込む
インターネット証券が証券取引システムの外販に相次ぎ参入している。カブドットコム証券は同じグループ会社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)に、証券取引システムを約29億円で納入。昨年に証券取引システムを刷新したマネックス証券も、システムの外販準備を進めている。現在の証券取引システム市場は大手の寡占状態。風穴を開けられるか注目が集まる。
カブドットコム証券はシステム開発会社からスタートした経緯もあり、ネット証券の中でも開発力に優れている。人材採用・教育においてもシステム重視の方針を貫き、全ての新入社員は最初システム部署に配属されるほどだ。
同社は、同じ三菱UFJフィナンシャル・グループであるMUMSSのネット取引システムのリニューアルを担当した。スマートフォン対応などデザインを刷新し、13日からはネットでの信用取引や逆指値機能を盛り込む。今後も新たなサービス・機能の導入を支援していく予定。
マネックス証券は2016年に証券取引システムを自社でリニューアルした。その蓄積を生かし、他の証券会社へのライセンス提供交渉を進めている。相場情報システムも内製化しており、こちらも社外提供を検討する。
システム外販に乗り出した両社だが、トップの姿勢にはやや温度差がある。カブドットコム証券の齋藤正勝社長は「今後はグループ内だけでなく、付き合いのあるグループ外企業にも提案していきたい。中長期的には売上高の約半分をシステム関連にしたい」と意欲をみせる。
一方、マネックス証券の松本大会長CEO(最高経営責任者)は「わが社は、金融機関。システム販売はあくまでおまけ」と慎重だ。
証券取引システム市場では、野村総合研究所が圧倒的なシェアを持つ。野村証券向けで培った高性能で安定性が高いシステムが特徴だが、コストが高いとの意見もある。
カブドットコム証券やマネックス証券のシステムは、ネット証券らしく価格を抑えているのが特徴。松本会長CEOによると「同レベルのシステムなら半額ぐらい」だという。
株式売買手数料の低価格化と税制度・システムの複雑化により、証券会社のシステムコスト負担は年々重くなっている。また、新たな収益源として証券ビジネスに参入する地銀も増加傾向だ。
大手に比べ圧倒的なコストパフォーマンスを提示できるなら、両社のシステム販売への引き合いは今後増えていきそうだ。
(文=鳥羽田継之)
カブドットコム証券はシステム開発会社からスタートした経緯もあり、ネット証券の中でも開発力に優れている。人材採用・教育においてもシステム重視の方針を貫き、全ての新入社員は最初システム部署に配属されるほどだ。
同社は、同じ三菱UFJフィナンシャル・グループであるMUMSSのネット取引システムのリニューアルを担当した。スマートフォン対応などデザインを刷新し、13日からはネットでの信用取引や逆指値機能を盛り込む。今後も新たなサービス・機能の導入を支援していく予定。
マネックス証券は2016年に証券取引システムを自社でリニューアルした。その蓄積を生かし、他の証券会社へのライセンス提供交渉を進めている。相場情報システムも内製化しており、こちらも社外提供を検討する。
ビジネス展開には温度差も
システム外販に乗り出した両社だが、トップの姿勢にはやや温度差がある。カブドットコム証券の齋藤正勝社長は「今後はグループ内だけでなく、付き合いのあるグループ外企業にも提案していきたい。中長期的には売上高の約半分をシステム関連にしたい」と意欲をみせる。
一方、マネックス証券の松本大会長CEO(最高経営責任者)は「わが社は、金融機関。システム販売はあくまでおまけ」と慎重だ。
証券取引システム市場では、野村総合研究所が圧倒的なシェアを持つ。野村証券向けで培った高性能で安定性が高いシステムが特徴だが、コストが高いとの意見もある。
カブドットコム証券やマネックス証券のシステムは、ネット証券らしく価格を抑えているのが特徴。松本会長CEOによると「同レベルのシステムなら半額ぐらい」だという。
株式売買手数料の低価格化と税制度・システムの複雑化により、証券会社のシステムコスト負担は年々重くなっている。また、新たな収益源として証券ビジネスに参入する地銀も増加傾向だ。
大手に比べ圧倒的なコストパフォーマンスを提示できるなら、両社のシステム販売への引き合いは今後増えていきそうだ。
(文=鳥羽田継之)
日刊工業新聞2017年3月7日