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インフィニオンの牙城を崩せるか。三菱電機が欧州にパワー半導体の拠点

マーケティング重視で現地の大学・技術団体と連携
インフィニオンの牙城を崩せるか。三菱電機が欧州にパワー半導体の拠点

柵山正樹三菱電機社長

 三菱電機は欧州にパワー半導体の技術マーケティング拠点を開設する。ドイツの販売拠点内に専門の人員を置き、2017年度から本格的な活動を始める。欧州の大学とのオープンイノベーションや、技術団体への参画などを行うのが狙い。現地のニーズを収集し、欧州事業の拡大につなげる。現在、欧州でのパワー半導体市場のシェアは15%程度だが、近い将来には20%超にすることを目指す。

 すでにドイツ販売拠点に専門人材を置いた。当初の人数は4人。パワー半導体という専門領域に焦点を当て技術的なマーケティングを行う。

 また現地の大学や研究機関が得意とする分野で、共同研究を行うことなどを視野に入れる。さらに販売拠点に在籍するエンジニアなどと情報を共有。日本の開発部隊にフィードバックして製品力の向上につなげる。技術や製品の標準規格を策定する業界団体との連携も進める。新たに策定される規格への提案力を強化する。

 電力を制御するパワー半導体は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のインバーター制御などに使われる。自動車メーカーが多く存在する欧州は成長市場とされるが、市場には独インフィニオンが圧倒的なシェアを有する。

 三菱電機は技術マーケティング部隊を置くことで地場の研究機関や業界団体と密接な関係を構築し、競争力を強化する構えだ。
日刊工業新聞2017年3月3日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
欧州の完成車メーカーやティア1に食い込むためには現地拠点の存在が不可欠。ただ欧州のパワー半導体市場はインフィニオンが存在感を見せつけている。本気で欧州市場でシェア拡大を実現するには、もう一手二手の攻めが必要になる。

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