新たな女子「メカジョ」を育てろ!女子中高生の工学部進学を促す

日本機械学会が顕彰制度。日立や日産など民間企業とキャリア形成を考える

 日本機械学会は2017年度中に、機械工学系の女性研究者「メカジョ」の顕彰制度を立ち上げる。若手研究者が対象。大学や高等専門学校の女子学生と企業との交流会も始める。工学部系の女性研究者は割合が少ない傾向にある。顕彰制度などで機運を高め、メカジョのキャリア形成や女子中高生の工学部進学増を促す。

 日本機械学会は17年に創立120周年を迎え、女性初の会長として大島まり筆頭副会長(東京大学教授)が就任する。これを機に企業や大学を巻き込んで、女性が働きやすい環境整備を促す。

 顕彰制度は大学院博士課程に在籍し、優れた研究実績がある学生を表彰する。女子中高生へは身近な目標を、企業へはキャリアを切り開く力のある女性人材像を発信する。

 交流会「メカジョ未来フォーラム」は14日に、第1回を開く。日立製作所や日産自動車など50社と連携して開催。女子学生が、参加企業と女性の働き方について意見を交換する。

 女性は研究テーマの確立と出産・子育てなどのライフイベントが重なり、キャリア形成は難しい。優秀な若手の表彰と働き方のモデルケース発信で、工学部系女性の活躍の場を広げる。
               


大島まり次期会長インタビュー


 日本機械学会では2004年に女性会員の活動支援を目的に「LAJ委員会」を発足し、女性技術者の交流会や中学高校への出張授業を重ねてきた。大島まり筆頭副会長(次期会長)に女性活躍の推進策を聞いた。
           

 ―女性活躍社会は学会だけでは実現できませんね。
 「たしかに学会が大学や企業に提言しても拘束力はない。大学の女性研究者と企業技術者が協力してきた蓄積を生かす。LAJ委員会の04年の発足当時は、女性技術者がお互いを知ることからはじまった。女性はキャリアを築く時期と出産・子育てなどのライフイベントが重なりやすい。悩みを共有し、細くても仕事を続けることが大事と励ましあう場に近かった」

 「現在は大企業を中心に女性支援制度が整い、その制度整備に奔走してきたメンバーも少なくない。職場の抱える現実と理想の間に挟まれつつ、それぞれの答えを出してきた。私自身、大学の学内保育園に子どもを預かってもらえなければどうなっていたかと思う。悩みながらも技術者や研究者として歩んできた経験や工夫は、他の企業にも参考になる」

 ―制度が整った部分もある一方で、社会も変化しました。
 「若い世代は共働きは当たり前と考えるようになった。男性の家庭進出が望まれるが、男性は女性よりも仕事の融通が利かない。ニーズの変化を踏まえて若い世代と働き方を変えてきた先輩が知恵を出すことが重要だ。女性が働きやすい環境は男性にとっても働きやすい」

 ―メカジョ未来フォーラムに参加する企業のメリットは。
 「企業は優秀な人材を集めれば終わりでない。力を発揮してほしい、自らキャリアを作っていってほしいと考えている。自分たちで働きやすいように働き方を変えていける人材が必要だ。フォーラムは30社を想定していたが希望が多く、50社に企業枠を広げた。女性はライフイベントを機に職場や雇用形態を変えることが多く、資格職を選ぶなどして適応しようとしてきた。男性も流動性が上がり、同じ問題にぶつかった。メカジョの力や経験は広く役に立つ」
【略歴】おおしま・まり 84年(昭59)筑波大第三学群卒。92年東大院工学系研究科博士課程修了。同年東大生産技術研究所助手、00年助教授、05年教授。16年日本機械学会筆頭副会長。工学博士、東京都出身、54歳。
(聞き手=小寺貴之)

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支援策はメカジョのネットワーク構築(学会)、メカジョの働く環境整備(企業・大学)、環境整備のケーススタディ(学会)、メカジョのキャリアパス形成(企業・大学)、キャリアモデルの高校生へのPR(大学・学会)、子育てと研究の両立(家族)、男性の家庭参加(家族・学会)などが考えられ、どれも学会単独では難しいように思います。そこで企業や大学を巻き込んで実現していくことになりました。仕事と家庭の両立でいっぱいいっぱいになって、職場のコミュニティだけでは支えられなくなってしまったときに、別のコミュニティがあることは重要です。大学研究者はほぼ個人事業主なので、大事にしたいコミュニティになると思います。居心地が大事なので、あまり規模を大きくせず、組織化もせず、でもいろんなアイデアを出して企業に参考になればと思います。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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