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缶チューハイ2強、「全方位vs高アルコール」の行方はいかに

アサヒも虎視眈々
缶チューハイ2強、「全方位vs高アルコール」の行方はいかに

戦略商品「キリン旅する氷結」

 キリンビールは28日、缶チューハイの主力ブランド「氷結」の2017年販売を前年比6・3%増の3730万ケース(1ケースは250ミリリットルの24本換算)に設定するなど、缶チューハイ事業の17年計画を発表した。ライバルのサントリースピリッツが、高アルコール度数の商品を中心に売り上げを伸ばすのに対し、キリンは“全方位戦略”で対抗する。

 キリンが全方位戦略を進めるのは、高アルコール商品に一定の需要を認めつつも「それだけでは伸びに限界がある」(同社)ため。各ブランドの販売計画は、高果汁分が特徴の「本搾り」が同9・1%増の917万ケース、「ビターズ」は同横ばいの350万ケースなど。

 同社は中高年層は価格競争力で高アルコール商品を好むが、若者や女性は「とことん酔うのを嫌い、ほどほどの酔いや甘さを求める」と分析。21日に発売する氷結ブランドの戦略商品「キリン旅する氷結」は、アルコール度数を中級の4%に設定。反応を見ながら品ぞろえを増やす。

日刊工業新聞2017年3月1日



ビールに次ぐ柱に育てる動き加速


缶チューハイは激戦区だ(都内のスーパー)

 ビール大手が、缶チューハイ事業を拡充する。ビール離れに歯止めがかからない状況だが、缶チューハイの販売は好調。2016年は業界全体で、前年比約11%伸びたと見られる。酒税の違いから店頭価格は350ミリリットル缶でビールより約50円安いほか、季節限定の原材料などを採用しやすく差別化も容易だ。缶チューハイをビールに次ぐ柱に育てる動きは、止まりそうにない。

 16年のビール類消費量は、前年比2%程度のマイナスになったと見られる。サントリービールの水谷徹社長は「天候不順の影響などもあるが、缶チューハイに需要が流れた」と、影響を認める。

 東京五輪・パラリンピックが行われる20年を含めビール税は多少下がるが、基本的に缶チューハイと価格差は残る。このため、キリンビールの布施孝之社長は「低価格の強み」を発揮できると見る。キリンは17年に、缶チューハイ主力の「氷結」で前年比6・3%増の3730万ケースを目指す。2ブランドを2月に刷新するほか、果実系商品を強化する。

 サントリーグループのサントリースピリッツは、アルコール度数が9%と高い商品に力を入れる。また、食中酒ユーザーは果実感を求めるタイプと甘くない味を求める二つがあると見て、それぞれの商品を強化する。

 キリンとサントリーの2強を追うアサヒビールは、基幹ブランドとして16年4月に発売の「もぎたて」が、年間706万ケースを売るヒット。17年は1100万ケースを目指す。平野伸一アサヒ社長は「2強に伍(ご)していくにはさらに上の数字が必要」と強気だ。
(文・嶋田歩)

日刊工業新聞2017年1月16日





明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
去年、各メーカーが「3%の酒」で“ほろ酔い”消費を狙っているという記事をニュースイッチで取り上げた。特に若い人たちは二日酔いするほど飲みたくないと考える人が増えているという理由だった。さて「缶チューハイの陣」はどういう結果になるか。

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