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いずれCVTの心臓部も。ジヤトコの「工場自動化大作戦」

トルクコンバーターの圧着工程はロボットに力覚センサーを装着
いずれCVTの心臓部も。ジヤトコの「工場自動化大作戦」

ボルトにゴム製部品「Oリング」をはめる双腕ロボット

 ジヤトコは変速機生産の自動化を拡大する。汎用ロボットや無人搬送車(AGV)の導入数を増やし、現状手作業で行っている部品の組み立てや搬送工程を順次自動化する。国内のほか人件費が上昇する中国など海外工場にも同様の技術を採用した生産ラインを構築する方針。グローバルで変速機の競争力、品質向上を狙う。

 ジヤトコは昨春、富士第一地区工場(静岡県富士市)内に無段変速機(CVT)の自動生産ラインを設置し運用を始めた。同ラインで採用した最新の自動化技術を順次他のラインや国内外の他の工場にも導入する。

 自動化技術の採用拡大と並行し、新しい自動化技術の開発も積極化する。マシンビジョンといった高機能センサーを活用しながら、将来的にはCVTの心臓部であるコントロールバルブの組み付けなど現状は人の手でしか対応できない高い技能が求められる工程の自動化も目指す。

 自動化に対応しやすいCVTの設計も進める。2020年以降にボタン一つ押せば良品を完成できる無人化ラインの実現を目指す。

 ジヤトコが昨春自動化したのは、日産自動車のスポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」向けを中心とした中・大型車向けCVTの生産ライン。部品加工、組み立て、搬送、検査工程に汎用ロボットを活用した自動化技術を導入した。

 CVTの基幹部品であるトルクコンバーターの圧着工程では汎用ロボットに力覚センサーを装着。人の手で作業する場合と同じような力加減で部品を微調整しながら指定の場所にはめ合わせられるようにした。

 各工程間の部品搬送には自社開発のAGVを採用した。天井にセンサーを取り付けAGVが人や壁などにぶつからずに安全に運用できるインフラも構築した。これまでに、人による作業が多い組み立て工程のうち4割を自動化しており、今後さらに自動化率を高める。
CVTの部品を搬送するAGV
日刊工業新聞2017年2月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ジヤトコはCVTで世界シェア4割と業界トップ。CVTと自動変速機(AT)の年間世界生産620万台のうち、国内工場で年間300万台を、中国など海外3拠点で320万台を生産する。労務費削減や生産性向上による製品競争力の強化、品質向上のため自動化を進めている。

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