東芝、今日取締役会。銀行は半導体100%売却求める

「経営に影響力を持てれば・・」東芝は3分1超保有にかすかな望み

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綱川社長
 東芝は24日、取締役会を開き、半導体メモリー事業を分社して設立する新会社の株式を売却する比率を50%超に引き上げる方針を決定する。100%売却を前提条件に今後、売却先を選ぶ入札を本格化する。ただ経営の主導権を確保したいのが東芝の本音。取引銀行を納得させる資金を引き出した上で、東芝の冠をメモリー新会社に残せるか。将来の日本の半導体産業の行方も左右する入札となる。

 東芝は3月中に半導体メモリー新会社を巡る1次入札を実施。5月をめどに売却先を絞り込み、17年度中の売却完了を目指す。

 同社はメモリー新会社の株式売却で財務基盤を立て直す。当初は20%未満を3月末までに売却し、債務超過回避を目指す意向だったが14日に50%超を売り出す方向に転換。売却時期も先送りした。

 取引銀行はメモリー新会社の株式のできるだけ多くを売却するようプレッシャーをかけている。14日の会見では綱川智東芝社長がメモリー新会社の株式売却の比率について「あらゆる可能性を否定しない」とした。先週末には主力取引行が東芝を訪れ、100%売却の基本方針を正式決定するよう幹部に促した。

 一方、東芝関係者は完全売却の覚悟を示しながらも「経営に影響力を持てれば、それに越したことはない」と話す。複数社に分配する形で株式を売却。1兆円規模の資金を調達した上で、新会社株式の3分の1超を保有する筆頭株主になれればベストな着地となる。

 東芝はメモリー生産の唯一の拠点である四日市工場(三重県四日市市)や雇用の維持を売却条件とする方針。業界関係者は「中長期的にこれらの条件の維持には、東芝が新会社をグリップするのが近道だ」と指摘する。

 先端のメモリー工場を日本で維持し、増やしていければ、半導体技術者のスキル向上、装置や材料などのサプライヤーの競争力の底上げにもつながる。

 9日に竣工式を行った四日市工場の「第6製造棟」の建設場所を巡っては、シンガポールを推す協業相手のウエスタンデジタル(WD)と意見対立があった。東芝がメモリー新会社の主導権を確保できればこうした綱引きを優位に進められる。
(文=後藤信之)

日刊工業新聞2017年2月24日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

日本に技術や工場を残すことと、東芝の財務基盤強化は別問題。すでに50%超を売却する時点で東芝が経営の主導権を持つことはありえないだろう。

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